平成23年10月3日

臨時国会を終えて


 皆さんこんにちは、国対委員長の漆原です。常日頃のご活躍、心より敬意を表します。今日9月30日、野田政権発足後初の臨時国会が閉会となりました。18日間の短い国会でしたが、ご報告をしたいと思います。

@無駄なことはやらない A派手なことはやらない B突出はしない

 皆さんこれなんだと思いますか、小学校の標語ではありません。野田内閣のれっきとした「内閣3原則」なんだそうです。13日から国会が始まりましたが、この18日間の野田内閣の姿勢は全くこの3原則の通りできるだけ国民に発信しない、必要なことさえ話そうとせず、一貫して国民に後ろ向きの姿勢を貫き通しました。


1、国会の会期問題 

 政府民主党は、会期を13日〜16日の4日間とし、新総理の所信表明演説と各党の代表質問を終えたら閉じたいとの意向でした。私たちは、野田政権になってはじめての国会であり、総理や各大臣がどんな国作りをしたいのか十分に意見交換をする必要があるので10月14日までの28日間とするべきだと主張しました。与野党国対委員長会談で、私は、平野民主党国対委員長に「何故国会を4日間で閉じるのか」と問いただしたところ平野氏は、「不完全な内閣だから十分な答弁ができないからだ」と述べたのです。驚くべき発言です。

 国会の会期は、与党の数の力でいったんは9月16日までの4日間と押し切られましたが、その後、野党や世論の批判にあって、9月30日まで14日間延長されました。延長国会では、衆参の予算委員会が2日ずつ行われ、政府の震災や原発対応、円高対策、政治とカネ、大臣の資質など幅広い問題が議論されました。まだまだ時間が足りません、次期国会ではもっと十分な時間をとって議論を深めたいと思います。


2、政治とカネの問題  

 9月26日東京地方裁判所で小沢氏の元秘書3人に対して有罪判決が言い渡されました。判決では、小沢事務所が東北地方の公共事業の受注者を決める「天の声」を発していたこと、このことに関連して小沢事務所が水谷建設から1億円の裏献金をもらっていたことも認定しました。この判決は、日本中に大きな衝撃を与えましたが、この問題に対しても民主党・野田政権は、貝のように口をつぐんでいます。私たちは、国会の自浄能力を発揮させるために、@有罪判決を受けた石川知裕議員の辞職勧告決議、A小沢議員の証人喚問の要求をしました。
 
 しかし、民主党・野田内閣はいずれの要求も数の力でこれを握リ潰してしまったのです。野田総理は、予算委員会でこのことを聞かれると「国会のことは国会で決めてほしい」と繰り返すのみで、民主党党首としての指導力を一向に発揮しようとしません。石川議員の辞職勧告決議案も小沢証人喚問も実現を拒んでいるのは民主党議員なんです。野田総理が、民主党の党首として指導力を発揮すればすぐにもやれることではないですか。結局、野田さん自身がその実現を拒んでいる元凶なんです。
 
 それにしても、民主党は国民の声に鈍感な政党ですね。自公時代には政倫審や証人喚問要求にも次に表示したように結構応じていました。政権交代後の2年間、私たちは石川氏の辞職勧告、小沢氏、鳩山氏の証人喚問を要求してきましたが全く実現していません。


          (参考事例)

   (野党の求めた議員辞職勧告決議案)
* H14・3・12 鈴木宗男 可決 自公賛成
* H15・3・11 坂井隆憲 可決 自公賛成

   (証人喚問)
* 中曽根康弘 1988年 リクルート事件
* 竹下登   1992年 東京佐川急便事件
* 小澤一郎  1993年 東京佐川急便事件
* 細川護煕  1994年 佐川急便グループからの借り入れ
* 村上正邦  2001年 KSDの受託収賄事件

   (政治倫理審査会)
* 加藤鉱一  1996年 共和からのヤミ献金疑惑
* 山崎拓   1998年 石油卸商からの資金提供
* 額賀福志郎 2001年 KSDからの資金提供
* 田中真紀子 2004年 秘書給与流用疑惑
* 橋本龍太郎 2004年 日歯連からのヤミ献金事件


 終わりに話題を変えます。この短い国会で、国会に原発事故調査委員会を設置する法案が成立しました。本邦初の画期的な制度でメディアからも大きな評価を得ています。原発事故を二度と起こさないために事故の実態をしっかりと検証することが大切です。そして、そのことが国際社会における日本の信用を回復させる唯一の方法だと思うのです。

 事故調査委員会をどこに置くか、先国会から議論されてきました。@内閣に置く(政府民主党案)A民間の有識者で構成する委員会に置く(自民党案)B国政調査権を有する国会に置く(公明党案)の3案が議論されてきました。

 @案は、菅総理の諮問機関としてすでに発足しています。しかし、調査委員会は、内閣の対応策も調査の対象にしなくてはなりません。内閣の諮問機関に過ぎない委員会が、任命権者である内閣を厳しく調査することなどとても期待できません。
 A案は、内閣とはまったく別の委員会が調査するという点で@案よりも優れています。しかし、民間の委員会に、国会の国政調査権並みの強力な調査権(証拠の提出命令、証人の出頭命令、虚偽の供述には偽証罪の適用、などなど)を与えてよいのか、国会の国政調査権との関係はどうなるのか、といった大きな問題があります。
 B案は、憲法が衆参の両院に国政調査権を与えていることから考えれば、至極当然のことだと思います。

 この結論に至るまで、民自公3党をはじめとする与野党で喧々諤々の議論の末、公明党案でまとまったのです。衆院で僅か21名の公明が、302名の民主党と118名の自民党を相手に勝ち取った成果です。この法案を担当した、遠藤乙彦さんや大口善徳さんの健闘に大きな拍手を送りたいと思います。

 まもなく、復興復旧に向けての3党協議が始まります。一日も早い復興に向けて全力で頑張ります。
 皆様のますますのご健勝を心よりお祈り申し上げ、ご報告とさせていただきます。


                          公明党国会対策委員長
               衆議院議員