平成18年8月10日
憲法裁判所について(試案)
一、 結 論
憲法を改正して、「憲法裁判所」を設置すべきであると思います。
二、 理 由
1.憲法81条では、裁判所に合憲性審査権を与えています。 しかし、これまで裁判所は、統治行為論や損害論などで「違憲・合憲」の判断を回避するというケースが多々見られました。(憲法9条や20条などの合憲性が問題となった場合には、この手法が多く使われ、判断を回避してきました。)
三権分立の精神、裁判所に合憲性審査権を付与した趣旨から考えると、裁判所のこの態度はいかがなものかと思います。
2.裁判所が合憲性審査権を放棄した場合、特に行政府の行為に対する合憲性審査(行政に対するチェック機能)は、一体誰が行うのでしょうか。
これまでの国会での論議では、内閣法制局長官の解釈が最終的な判断になっています。(このことは9条及び20条の論争を見れば良く理解して頂けると思います。)
しかし、内閣法制局長官は、行政府の一部に過ぎません。閣議を経た内閣の合憲性について、下部組織である法制局長官が「違憲」と判断するはずもなく、又、「合憲」と判断しても、何の根拠にもなりません。
戦後60年、内閣法制局長官が「合憲」と判断しているから「合憲」だ、という全く理不尽な論議がまかり通ってきました。この不合理は是正されなければなりません。
3.この不合理性については、実は、誰でも気付いています。しかし、条約や安全保障や現職の内閣総理大臣の具体的行為を「たった15人の裁判官の判断に委ねて良いのか」という根本的な問題があるので、皆そのことを言いません。
その結果、政府はどんどん既成事実を積み重ね、「解釈改憲」などという不名誉な事態になってしまっているというのが現状ではないでしょうか。
この問題を解決する方法は、以下の3点しかありません。
@現状のままで良い。
A憲法裁判所を設置する。
B国民に直接判断を仰ぐ。
私は、憲法裁判所を設置する事が最も合理的だと思います。
4.高度な政府判断を要する事項について違憲判断がなされた場合には、その段階で内閣が解散によって国民に信を問えば良いと考えます。
皆様の御意見を拝聴したいと思います。
衆議院議員
漆 原 良 夫
|