平成21年9月20日

民主党−数の驕り

 こんにちは、国会対策委員長の漆原です。18日の本会議で常任委員長のポストをめぐって裁決がなされましたが、我が党は民主党の推薦する鈴木宗男氏の外務委員長就任には反対を致しました。その理由は次の通りです。

1.鈴木氏は、’02年あっせん収賄罪で逮捕起訴され、1審で懲役2年の実刑判決を受け、2審で控訴を棄却され、現在最高裁判所に上告しています。鈴木氏は最高裁で上告が棄却されたならば、そのまま刑務所に収監され、議員の地位も失う立場にある人物です。このような危うい人物を何故民主党が外務委員長という国会の要職に就任させようというのか、全く理解しかねます。万一、鈴木氏の外務委員長在職中に、上告棄却→委員長の収監ということになったなら、民主党は一体どうやってその責任を取るつもりなのでしょうか。公明党は、清潔政治の実現、国会の高い倫理性の確保の観点から、この人事案を是認することはできません。

2.鈴木氏には、’02年衆議院において、議員辞職勧告決議が全会一致でなされています。この決議案は、民主党・社民党・共産党などが提案し、全会一致の決議となったものです。しかし今回、民主党や社民党は鈴木氏の外務委員長就任には賛成です。野党時代と与党になった立場とで対応が異なる両党の倫理観には、強い違和感を覚えます。私には、総選挙で圧倒的な多数を得た民主党の数の驕りとしか映りません。「これが政権交代で目指した『変化』なのか。党首としての鳩山由紀夫首相に説明を求めたい」(朝日新聞9月19日付社説)とする朝日新聞の社説に全く同感です。

3.常任委員長人事は慣例では選挙手続きを省略して、議長が一括して指名することになっています。しかし、これでは反対の意思を表明することができませんので、私達は議運の理事会で外務委員長人事を他の人事と切り離して、起立採決にするように求めました。ところが、民主党の理事は外務委員長人事を含む全ての人事案を「異議なし採決」で行うよう議運の理事会で「採決しよう」と言い出したのです。議運の理事会では圧倒的に民主党の数が多いのですから、これでは小数会派の「賛否の意見を表明する機会が奪われる」ことになります。これでは全法案が「異議なし採決」となり、衆議院本会議の意義は全く失われてしまいます。これでは議会制民主主義の否定です。自民・公明の議運の理事が衆議院議長にかけあい、議長が外務委員長人事だけを分離して起立採決をするよう民主党を説得した結果、ようやく民主党もこれを受け入れたものです。民主党の数の驕りも、ここに極れりです。

                          公明党国会対策委員長
              衆議院議員