平成21年5月18日

国政報告(第2回)

 新緑のまぶしい5月となりました。党員、支持者の皆様の御支援に心より感謝を申し上げます。「政治は一寸先が闇」と言われますが、何が起きるか本当に予測がつきません。5月13日に麻生総理と小沢代表の党首討論の日程を決定したのですが、11日に小沢代表が突然代表辞任の記者会見を行い、16日には早くも鳩山新代表の誕生です。何ともめまぐるしい展開です。私の感想を申し述べたいと思います。


<党首選は鳩山禅譲のデキレース>
○この党首選は、鳩山氏を中心とする親小沢グループと岡田氏を中心とする反小沢グループの壮絶な闘いとなりました。
 小沢代表、鳩山幹事長は、11日に民主党の役員会を開いて「@代表選は16日、A立候補の届け出は投票日の午前中、B投票権者は衆・参の現職国会議員のみ」と決め、押し切ろうとしました。
 しかし、岡田グループからは当然の事ながら@選挙期間を十分とって、争点を明らかにした開かれた選挙戦にするべきである、A投票権も、全国のサポーター、地方議員、衆院選の候補者などにも与えるべきである、などの反対意見が続出しました。
 しかし、小沢・鳩山連合軍は、これらの反対意見を強引に封殺して、当初の予定通りの選挙日程を押し通したのです。

○選挙結果は、御存知のとおり「鳩山氏124票、岡田氏95票」であり、29票差で鳩山氏が新代表に選ばれました。
 民主党内での勢力図を見ますと、小沢グループは50人、鳩山グループは30人の所属議員を有しています。これに対して、岡田氏はどこのグループにも所属していないため0人です。この事を考えますと、岡田氏は敗れたとは言え、大善戦をしたと評価しても良いと思います。又、民主党内で反小沢の議員が、これだけ多く存在したという事だと思います。

○民主党の代表として鳩山氏か岡田氏かという世論調査では、岡田氏がダブルスコアー以上の支持を得ています。
「鳩山氏は、小沢氏のダーティーな部分を色濃く引きずっているので、党首選では不利だ。だからなるべき国民的な議論をしないで、票の読める現職国会議員だけで決めてしまいたい」・・・今回の小沢・鳩山連合軍の強引な党首選の進め方には、そんな狙いが透けて見えます。 岡田グループのある議員が「あと一日あれば、この結果は逆になっていた」、「このような選挙方法の決め方は不正義だ」と言っていました。
 堂々と議論を展開させない、このような姑息な方法は、民主党の党名が泣くぞと申し上げたいし、鳩山新代表もその出発から民主党の民意を反映しない新代表との不名誉な評価を免れ得ないと思います。

<鳩山新代表の課題>
 次の総選挙は、政権交代の是非を問うものではなく、政権担当能力の有無を問う選挙です。その意味から、鳩山新代表には総選挙に向けて明確にしてもらわなければならない問題が山積しています。
1、小沢・西松問題の結着
 小沢前代表の「異常な献金・違法な偽装問題について、8割以上の国民が説明責任を果たしていないと指摘しています。西松建設の社内 調査では「小沢氏に受注の妨害をされないために違法な献金を続けて きた」と発表しています。10年間で3億円の献金を受けてきた理由は一体何か・・・小沢氏は明確な説明を国民にすべきです。
 民主党では、外部の有識者による第三者委員会で、この問題を調査しているようですが、そもそも小沢氏が出頭に応じないと報道されています。ジェラルド・カーチス氏は、小沢氏について「国民に説明できない人は、総理になる資格はない」と言っています。
 新代表は、代表の権威にかけてこの問題を国民に明らかにすることが必要だと思います。

2、民主党の財源論について
 民主党は、子供手当、高速道路の無料化、年金基礎部分の全額税負担、高校の無償化、農業の個別所得補償など、美味しそうなメニューをずらりと並べています。しかし、その政策を実現するには、毎年21兆円の財源が必要となります。
 民主党は、その財源を無駄遣いなどの行政改革によって捻出すると言っていますが、具体的な数字は全く提示していません。どんな病気でも治せますというから手術を任せたところ、切開してから、実は治せませんというのでは、患者は困るんです。財源論の明確な処方箋を示してほしいと思います。

3、安全保障について
 小沢前代表は、国連決議さえあれば、日本の自衛隊はアフガンに上陸し、武力行使をしても構わないと公言されました。
 民主党としては、この考えを今後とも是認されるか否か明らかにする必要があります。
 公明党は、アフガン支援は洋上における給油支援が憲法9条の限界であり、仮に国連決議があったとしても、自衛隊がアフガン本土に上陸し、武力行使をするなどということは明白に憲法9条に違反するものと考えています。

4、党首討論
 小沢前代表は、党首討論には大変消極的でした。
 100年に一度といわれるこの危機をどのように対処するのか、民主党の経済対策はどのようになっているのか、財源論はどうなっているのか、その他消費税、安全保障、憲法改正、西松問題など、国民の前に明確にしなければならない論点は沢山あります。
 毎週一回の党首討論は、是非とも応じてもらいたいと思っています。

                                                       以 上

                          公明党国会対策委員長
              衆議院議員