平成17年10月13日

どうなる?「共謀罪」


★現在、衆議院法務委員会において「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法案」が審議される段取りとなっております。この法案に対して全国の皆様から、特に「共謀罪」の創設に対し、御心配のメールやお電話・ファックスを頂いており、現況についてご報告をさせて頂きます。

★ある方からのお手紙に「私たちの市民活動が犯罪となるかも知れない?そんなばかな、と、いても立ってもいられない気持ちでFAXを差し上げております。」とのお気持ちを聞いて、本当に申し訳ない思いで一杯です。NPOや様々なボランティア活動等を通じた皆様の献身的な活動が共謀罪の対象となるようであったならば、日本は真っ暗闇です。
 表現の自由や思想・信条の自由が憲法で保証されている日本国の法制度のもとにおいては、あってはならないことだと私自身、強く自覚しております。法務省の役人に「一般の人達が心配している。『この法律の適用対象は組織的犯罪集団に限られる』、『組織犯罪集団ではない、一般の会社、市民団体、労働組合、宗教団体には適用にならない』ということを、もっと国民の皆様にわかりやすく説明すべきだ」と申し入れました。

★共謀罪の必要性について、南野法務大臣は、次のように説明しておられます。「我が国におきましても、集団密航事犯、または覚せい剤等の密輸事犯、またはクレジットカードの偽造事犯、さらにまたピッキング用具を使用した窃盗事犯など、国際的な犯罪組織によって各種の犯罪が多発しているこの頃でございます。……また、このような国際的な組織犯罪の脅威という現実や、このような犯罪を防止し、これと戦うことを目的として、そのために様々な方法等を定めているこの条約の内容に鑑みますと、我が国としましても、この条約を締結する意義は大きいものがあり、これにより……国際的な組織犯罪から国民を守ることができるようになるものと考えております」(H17.7.12.衆院法務委員会における漆原良夫の質問に対する大臣の答弁)。
 組織的な犯罪集団によって、犯罪の実行が「共謀」されたならば、その実現の可能性は極めて高く、その犯罪実行を未然に防止して国民の生命・身体・財産の安全を守らなければなりません。
 共謀罪の新設は、組織的犯罪集団から国民の生命・身体・財産の安全を護るための目的であることを、どうか御理解賜りたいと思います。
しかし、私は共謀罪が伝統的な刑法理論の例外であることから、次の修正を法務省に求めています。
 1. 共謀罪の適用は組織的犯罪集団に限られることを法文上明確にすること。
 2. 単なる「共謀」の事実だけではなく、その共謀を実現するための客観的・外形的な「準備行為」を要件とすることであります。

★共謀罪を新設する目的は「組織的犯罪集団」から国民の生命・身体・財産を守ることでありますから、この法の適用が組織的犯罪集団に限られることを法文上明確にする必要があります。
 この法律が乱用され、一般国民の日常的な活動が対象となるようなことは断じてあってはならないことだと考えています。
 従って、この法律の適用対象が組織的犯罪集団に限られることを「法文上」明確にする必要があると考えています。

★日本の伝統的刑法理論では、頭の中で考えたことは処罰の対象とはならず、具体的な「実行行為」があって、始めて犯罪の対象となります。しかし、共謀罪は「共謀」即ち頭の中の「合意」だけで犯罪が成立し、具体的な「実行行為」は不要とされています。
 現存の刑法や特別法の中にも、このような「共謀罪」の存在は、いくつか散見されます。しかし、これは例外です。
 従って私は、単なる合意の他に「準備行為」を共謀罪成立の要件とすべきであると修正を要求しているのです。

★どんなに必要な法律であったとしても、国民の皆さんの理解がなくてはならないと思っています。皆様方の御心配をなくすために「慎重に討議を重ねて」参りたいと思っています。

                          衆議院議員、法務委員会理事