令和3年7月12日
【内閣の品格を貶める西村大臣発言
 

 

○西村コロナ担当大臣は、飲食店に酒を出させないことを徹底するために二つの方針を表明しました。
その一つは、業者にお金を貸している金融機関に、政府の方針に従わない飲食店に対する「働きかけ」を要請する手法です。
その二つ目は、酒の卸売業者に対して、政府の方針に反し酒の提供を継続している飲食店との「取引の停止」を要請する手法です。
政府が行政目的を達成するために、自己の監督下にある金融機関や卸売業者にその優越的地位を利用して、政府の意に従わない「飲食店」に圧力をかけさせる手法は到底健全な行政の執行とは言えません。
「国民に分かりやすい政治」を標榜する菅政権にとって、このような陰湿な手法は内閣の品格を貶めるものです。西村大臣は、一つ目の発言は撤回しましたが、二つ目の手法は撤回していません。西村大臣発言は、以上に述べた理由から、全面的に撤回されるべきだと思います。

○西村大臣の手法は、権限の乱用になります。
・コロナ特別措置法では、緊急事態宣言の場合には、酒を提供する飲食店には時短や休業の要請ができ、それに従わない業者には罰則の適用も可能となっています。
しかし、時短や休業の要請に応じない業者に、経済的圧力を加えて従わせるような権限は大臣には与えられていません。法によらない権力の行使は、許されません。
・ことに、卸売業者に対する「取引停止」要請は問題です。国税庁という監督官庁からの要請は、卸売業者にとっては、事実上の「命令」となりかねません。
「取引の自由」という私的財産権の制限にかかわる問題ですから、立法府において十分な審議がなされるべき事柄であって「行政府」による恣意的な判断や運用は許されません。

○東京では、本日4度目の緊急事態宣言が発令されました。酒を 提供する飲食店には、全面的休業が要請されます。長引く時短や休業要請により飲食店の疲弊は目を覆うばかりです。時短や休業要請に応じた飲食店から「支援金や協力金の支払いが遅れている」、「これ以上休業したら潰れてしまう!」と悲鳴が聞こえます。
今大事なことは、権力を振り回して弱い立場の飲食店を押さえつけることではありません。飲食店経営の皆さんにできるだけ多く、できるだけスピーデーに支援金を支払うとともに、丁寧に時間をかけて説明し理解と協力を願うことではないでしょうか。

迂遠と思われるかもしれませんが、政治の王道に立ち返るしかないと思います。

2021年7月12日
公明党顧問 漆原 良夫