令和元年8月17日
【憲法改正問題
 

 

 連日の猛暑も、お盆過ぎにはようやく収まったようです。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 74回目の広島、長崎の原爆記念日、終戦記念日を迎え、改めて「不戦の誓い」と「核兵器の廃絶」を決意いたしました。しかしながら、参院選挙後の政治状況は益々憲法第9条の改正圧力が強まっていくように思われてなりません。
 8月17日、公明党新潟県本部の夏季議員研修会で私の思いを話させていただきました。その骨子を紹介させていただきます。



一、 憲法9条をめぐる改正圧力の強化
1、内的要因
@ 憲法改正問題を参院選の争点にした
 ・総理・・憲法改正を議論する政党か否か
「少なくても議論すべきだという国民の審判は下った」「野党は民意を正面から受け止めていただきたい」(7.22会見)
 ・衆参の憲法審査会(憲法改正原案、改正の発議の審査)
 ・審議のあり方(野党欠席与党のみの審議、裁決強行)
A 安倍総理の憲法改正の工程表
 ・「2020年改正憲法施行」(2017年会見)
 ・「今もその思いには変わりが無い」(7.22.会見)
B 総理の任期・・2021年10月(総裁任期は、9月)

2、外的要因
@ トランプ氏の日米安保条約不平等発言
 ・日本が攻撃されたら米国は全力で日本を守る、しかし米国が攻撃されても日本に米国を守る義務は無い。日本はソニーのテレビで米国が攻撃されるのを見ているだけだ。
A 米国のホルムズ海峡「有志連合」参加の呼びかけ
 ・中東ホルムズ海峡の航行の自由と安全確保のために「有志連合」構想→日本の対応(自衛隊の派遣?)
 ・日本は、原油供給の8割超を湾岸諸国に依存
 ・トランプ氏は、米国が中東の原油に依存していないことから、「原油輸入国である日本など自国のタンカーは、自国で防衛すべきだ」とツイッターで発言


二、 安倍総理の9条改正案(2017年5月3日)の問題点
1、総理発言の内容
@「憲法第9条1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持)を残したまま、自衛隊の存在を憲法上に明記する」
A その理由→憲法学者などから今もなお「自衛隊は憲法違反だ」との指摘がなされている。このような状況は、命を懸けて国民のために頑張っている自衛隊の諸君に申し訳ない。そこで自衛隊を憲法上明記し違憲論争に終止符を打ちたい。
B 「自衛隊の存在を憲法上に明記したとしても、フルスペック(制約の無い形)の集団的自衛権の行使は認められない」
C 更に「自衛権の行使については、憲法9条2項の戦力不保持の規定を残すことで、平和安全法制で定めた『武力行使の新3要件』の制限がかかる」
 ※要は、自衛隊を憲法上明記するだけで、憲法の解釈は何も変わらないので安心してほしい。
 ※しかし、安倍総理の発言を憲法上担保するものは何もなし。

2、自民党の改正案
@ 憲法9条の1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持)をそのまま残し、9条の次に新たに「第9条の2」の条文を新設
A 9条の2→「前項の規定は(戦力不保持)は、わが国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として・・・自衛隊を保持する」

3、安倍総理、及び自民党案に対する批判
○ 条文が変われば、解釈が変わる・・法律家の常識
○ 「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という9条2項は残すものの、「自衛の措置をとることを妨げず」、「そのための実力組織として」、「自衛隊を保持する」→要は、自衛のためであれば、陸海空軍その他の戦力を保持しても良い。
○ 疑問その1・・・集団的自衛権行使容認の道を開く
 ・「自衛」とは何か
 ・ 国連憲章第51条→個別的自衛権も集団的自衛権も各国の「固有の権利」→日本国憲法上に「自衛権」の定義が無い(現行法では、自衛の措置は「武力行使の新3要件」の枠)
 ・集団的自衛権行使容認の道を開く
○ 疑問その2・・・戦力不保持の原則(9条2項)の空文化
 ・特別法は一般法に優先する
 ・新設の「9条の2」の新法は、戦力不保持を定めた「9条2項」の特別法だとする考え方。自衛に必要であれば、戦力不保持の原則は適用にならない。
 ・その結果、「自衛の措置」が一人歩きし、自衛隊の組織や権能が際限なく膨張し、終には9条2項で定めた戦力不保持の条文が死文化する。

4、「憲法9条の1項、2項を残し、自衛隊を憲法上に明記する」という公明党の加憲案との違い。
○ 自民党・・自衛隊を憲法上に明記し、これを契機に自衛隊の権能を拡大する事を目論む。
○ 公明党・・自衛隊を憲法上明記する事によって、その目的と権能を明確にして、自衛隊の膨張・拡大を制約する。

以上

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※註1
 <日本国憲法9条>
  1項・・「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永遠にこれを放棄する」
  2項・・「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」

※註2
<武力行使の新3要件>
@ 日本の存立が脅かされる明白な危険があること
A 武力行使以外に他に手段が無いこと
B 必要最小限度の実力行使にとどめること