平成30年12月12日
【第197回臨時国会を終えて
 

 

★皆さん今日は。日本列島は、寒波の到来で今年一番の寒さや大雪に見舞われていますが、いかがお過ごしでしょうか。風邪などひかれませんよう、体調管理にくれぐれもご留意されますようお祈り申し上げます。

★さて、桜田氏の「レンポー問題」や「片山問題」など、いろいろ話題の多かった臨時国会でしたが、第一次補正予算や入管法の改正など多くの成果を残して本日閉幕となりました。皆様のご支援に感謝しながら、少しこの国会を振り返って見たいと思います。

★<補正予算の成立・総額9356億円> 
・災害被災地の復旧・復興を進める第一次補正予算には、公明党の強い要望が随所に盛り込まれています。
・西日本豪雨や大阪府北部地震、台風21号、北海道胆振東部地震などの復旧復興、関西国際空港連絡橋の復旧支援など 
・学校の緊急安全確保対策。具体的には、熱中症対策として公立小中学校へのエアコン設置費用や公立小中学校の倒壊の危険性があるブロック塀の改修費用。

★<改正入管法>
・一昔前は、「仕事が無くて困っている」とよく相談を受けました。今はどこに行っても、「仕事はあるけど人が足りない」言われます。地方や中小企業の「人手不足」は、特に深刻です。しかし、日本の入管法は、「移民」は勿論「単純労働者」の在留資格も認めていません。今回の入管法改正は、この要請に応えようとするもので地方の活性化・地方創生にも大いに寄与するものです。
・改正法は、外国人材の受け入れ拡大のために、新たな在留資格を創設します。その内容は、@一定の知識や経験が必要な「特定技能1号」とA熟練技能が条件の「特定技能2号」を設ける事にしています。
・政府は、受け入れ業種や人数、外国人労働者の待遇や社会保障、在留資格の要件などの詳細を法律施行までに、政省令で明確にするとしています。しかし、野党の皆さんはそれに納得せず、法案審議の過程で政省令の内容が明確にならなければ、法案の審議も出来ないし裁決もしないと強硬に反対をしました。ここで衆議院の大島議長が、「改正案の施行前に、政府が政省令を含む法制度の全体像を国会に報告する」と言う斡旋案を出し与野党双方が納得し、粛々と本会議で採決が行われたのです。
・法律は、あまり細部まで条文に書き込んでしまうと、ガチガチになってしまって臨機応変性や即応性に欠けます。反面、政省令に委任する事項が多すぎると国会軽視になります。大島議長の斡旋案は、政府にも国会にも一定の「自制」を求めるものであって、襟を正すべき内容だと思います。
・これまでフィリピンやベトナムは、多くの技能実習生を日本に送り出してきました。しかし、海外で就労を希望する皆さんの目は、以前のように必ずしも日本に向いていません。彼らの目は今や、日本よりも就労環境の良い韓国、オーストラリア、カナダの方に向いています。
・安倍総理は、10日の記者会見で外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管法について、運用の方向を示す「政府基本方針」や外国人の住宅支援などを含む「外国人の受け入れ共生のための総合的対応策」を策定するとしています。地方や中小企業の人手不足は、喫緊の課題であり「待ったなしの課題」です。この課題に迅速に対応するとともに、外国人の受け入れ対策をしっかり構築し「日本に来てよかった」と実感してもらえる対応を期待したいと思います。

★<憲法改正問題>
・安倍総理は、「2020年の改正憲法施行」を目指し、そのためには何としても、この臨時国会で自民党の改正案を憲法審査会に提示したい、と考えて側近の下村博文氏(自民党憲法改正推進本部の本部長)と新藤義孝氏(衆院憲法審査会の与党筆頭理事)を要職に抜擢しました。しかし、下村博文氏の「職場放棄」発言や職権による憲法審査会の開催(理事の選任)などが野党の反発を招き、結局改正案を提示するための憲法審査会の開催は見送られました。
・自民党の改正案を臨時国会に提示する、という安倍総理の期待は実現しませんでしたが、総理は10日の記者会見で改めて、「2020年の改正憲法の施行」を目指すことを強調しました。「2020年に改正憲法を施行する」ということは、少なくとも来年中には国会で憲法改正の「発議」をして、来年か再来年の何処かで憲法改正の是非を問う「国民投票」を実施しなければなりません。「2020年の改正憲法施行」を強調する安倍総理にとって、残された時間はあまりにも少ないと言わなければなりません。
・来年の通常国会では、憲法改正に関する攻防戦が益々激しくなると思われます。しかし、憲法審査会での議論は、与野党合意の上で清々粛々と論議されるべきであって、間違っても数の論理で少数意見を押し切ってはなりません。
・私たち日本国民は、「もう戦争はしない!」という強い決意で73年前に現憲法を制定しました。憲法第9条に掲げる平和主義は、我が党にとって立党の根幹に関わる大問題であり、何にも勝る理念です。憲法第9条改正に関する、安倍総理の前のめりの姿勢には、多くの国民が不安を抱いています。その意味で、国民目線の公明党が連立与党の一角を占めている意義は大変大きいと思います。

「ブレーキを掛けるべきときには、ブレーキを掛ける!」。公明党は、今こそ国民の期待にしっかり応えて参ります。

以上

平成30年12月12日
公明党  漆原 良夫