平成30年7月11日
【中国「残留孤児」に対する支援策の要望
 
―祖国は、暖かかった―

〇 皆さん今日は。私は、長年中国「残留孤児」の皆さんの支援をしてまいりましたが、今日、皆さんと一緒に厚生労働省に赴き、加藤勝信大臣に「残留孤児」に対する支援策に関する要望をしました。


〇 実は、安倍総理と中国「残留孤児」の皆さんとは、今から10年前の2008年に、感動的な出会いがあったのです。

  第1次安倍内閣の時、安倍総理が、残留孤児の皆さんを励ますため孤児の皆さんを官邸に招待してくれました。その日は、ちょうど午前中に東京地方裁判所で、支援策を求める残留孤児の皆さんの訴えに対して、「敗訴」の判決が言い渡された日と重なったのです。残留孤児の皆さんの落胆は、想像を絶するものがありました。
  安倍総理は、残留孤児の皆さんに「司法の救済が駄目なら、政治の力で救済しよう」「大変なご苦労をされて帰国された残留孤児の皆さんに「祖国は暖かかった」と思っていただかなければならない」と力強く激励されたのです。
  総理のこの激励に池田澄江(NPO法人 中国帰国者・日中友好の会 理事長)さんは、「朝は地獄(敗訴)、午後は天国(総理の激励)」と喜んでくださったことを私は、今でも鮮明に覚えています。


〇 残留孤児の皆さんは、祖国への帰国の思いは果たしたものの、高齢でもあり日本語も話せません。年金もなく、仕事もなく、日常生活や老後の保障は何もありません。
  中国で大変なご苦労をされて、漸く日本に帰ってこられた孤児の皆さんへの保障が「生活保護」では、あまりにも惨めではないでしょうか。自民、公明の与党中国残留邦人支援に対するプロジェクトチーム(自民党・野田毅座長、公明党・漆原良夫座長代理)は、何とか残留孤児の皆さんに相応しい支援策を構築したいと考えて来ました。


〇 安倍総理のご発言によって、政治は大きく動きました。

 *2008年4月1日、中国残留邦人に対する新しい支援策が以下の通り施行されました。
@ 老齢基礎年金の満額受給が可能となりました。      
A これまでご苦労をされてきた中国残留邦人の皆さんの特別な事情に配慮し、安心して老後の生活を送っていただけるように、生活保護とは異なる新たな支援給付制度が創設されました。
以上の通り、新しい支援策によって、「残留孤児」に対する支援は大きく転換し、老後生活の保障が大きく前進したのです。

*次に2014年10月1日、改正支援法が施行され「残留孤児」死亡後の配偶者に対し、その老後の生活保障のための配偶者支援金の支給が開始されました。
2008年の改正により、残留邦人に対する老齢基礎年金が満額支給されるようになりましたが、本人が死亡すると年金が支給されなくなる上、配偶者に対する支援金給付も減額されます。
今回の措置は、中国時代から長年苦労を共にしてきた配偶者の生活の安定を図る制度として創設されたものです。
 
*厚生労働大臣は、残留孤児の皆さんと毎年1回、支援策の要請懇談会を行う事になりました。2008年7月から始まり、今回で11回目となります。


〇今回の要請懇談会では、残留孤児の皆さんから以下の項目について要請があり、加藤大臣から前向きなお答えがありました。
@ 永住帰国後死亡した「残留孤児」の配偶者すべてに支援給付・配偶者支援金を支給してください。
A 帰国者の特別な事情に配慮した介護の環境整備をお願いします。
B 自立支援通訳を拡充してください(特に医療・介護の通訳)
  等々です。


〇2つの祖国を持つ「残留孤児」の皆さんは、文字通り「日中の架け橋」です。日本政府が残留孤児、配偶者、2世・3世を暖かく支援する姿勢は、日中友好の証として大きな意味を持つものと確信しています。

私は、今後も「残留孤児」の皆さんに対する支援の活動を続けて参ります。どうか、暖かいご支援を心よりお願い申し上げます。


平成30年7月11日

公明党  漆原 良夫