国会は、いよいよ終盤に差し掛かっています。行政文書の改竄、廃棄、隠蔽問題を巡る与野党のやり取りに対して、野党の質問の仕方や安倍総理や閣僚の答弁のあり方、公明党の対応などについて多くの質問を戴いています。今回は、その代表的な質問について私の考えをお話ししたいと思います。
Q1 今国会での与野党のやり取りについて。
<今国会を振り返って>
〇心配していることがあります。それは、「国会は国権の最高機関」であって、決して「内閣の下請け機関ではない」ということです。
〇一連の行政文書の「改竄、廃棄、隠蔽問題」は、行政府が立法府を1年間も騙し続けてきたということです。国民の代表たる国会の権威が蔑ろにされたということです。
〇私は、「国会よ、もっと怒れ!!」と言いたいのです。
〇与野党のやり取りを見ていると、政局的な観点からの攻防戦に終始しているように見えます。そうではなく、国会が国権の最高機関としてその役割を果たすために、国会自身が与野党の枠を超えて「真相の究明」と「再発防止策の構築」に取り組まなければいけないと考えます。
〇財務省は、6月4日「森友学園」に関する文書改竄問題について、「調査結果」と「関係者の処分」を発表しました。憲政史上類を見ない不祥事に対して、「国会」として一体どう対処されるのでしょうか。衆議院、参議院とも、各々後世に恥じない対応がなされることを期待したいと思います。
<野党質問の仕方>
〇野党の皆さんのことをとやかく言う立場にはありません。
〇「決め手を欠く質問を延々とやっているなー」と言う印象ですね。
〇6月12日の米朝首脳会談を軸に世界が激しく動いている時に、「こんな内向きのことばかりでいいのかなー」と思います。(1年半ぶりの党首討論で野党第1党の党首が持ち時間全部を「モリ・カケ」に当ててしまいました)。
〇私は、いわゆる「モリ・カケ」問題に対しては、特別委員会を設置しそこで議論する事とし、予算委員会や各委員会では提出法案や直面する政治課題について十分審議できるようにすべきだと思います。
<安倍総理や各閣僚の答弁>
〇「信なくば、立たず」です。
〇裁判の世界では、「疑わしきは、被告人の利益に」ですが、政治の世界では「疑わしきは、権力者の不利益に」と言うことです。だからこそ「瓜田に靴を入れず」「李下に冠を正さず」なんです。
〇世論調査では、70パーセント以上の国民が安倍総理の説明に納得出来ないと応えています。このことは、昭恵夫人と森友学園、安倍総理と加計理事長との関係などから、多くの国民が「安倍総理は、瓜田に靴を入れた」と感じているからではないのでしょうか。
〇安倍総理や閣僚は、このことを肝に銘じて謙虚に、誠実に国民に話しかけ疑惑を解消し信頼を回複してほしい。
Q2 与党の中にあって、公明党の「今の役割」とは?
〇公明党は、地方議会から出発した政党であり、国民に一番近いところにいる政党と自負しています。「国民目線の政治の実現」こそ与党の中の公明党の役割と思っています。
〇塩崎元厚生労働大臣は、自公連立政権の意義について次のように発言をされています。「1個の新薬が発見された。この場合、自民党は、『いかにして全国に販売しようか』と考える。公明党は、『この薬、副作用は大丈夫か』と考える。自民党は、生産者の目線、公明党は、消費者の目線です。このベクトルの違う政党が一緒になる事によって、政策のウイングが広がり政冶を安定させることが出来るのです」と。まことに分かりやすい説明で、全くその通りだと思います。
〇公明党は、平和安全法制、軽減税率、テロ等準備罪の法制化に当たっては、まさに国民の視点で自民党と激論を交わし大きな成果を得たと確信しています。
Q3 自民党が議席的にもこれだけ強い現在 公明党として自民党への働きかけ方はどうか
〇自民党と公明党は、もともと成り立ちの違う政党ですから、政策も文化も違います。
〇国会開催中は、2幹2国(自公の幹事長、国対委員長)会談を基軸に国会対応、政策、など議論し調整します。
〇その他、政策、税制、選挙、安全保障などは、それぞれ自公の責任者を中心に議論し合意形成を図ります。
〇あまり知られていないことですが、政府が国会に法案を提出する場合には、自民党、公明党双方の合意がなければ提出できない事になっています。
〇以上の通り、自公の合意形成の仕組みは明確になっています。十分な議論のうえで、公明党の主張をしっかり反映させて参りたいと思っています。
Q4 自民党とのパイプ役として、大切にしてきたことは何か。
〇「信頼と緊張」と言うことです。
〇信頼関係を伴わない緊張は、ギスギスして連立を壊します。反面、緊張の伴わない信頼は、馴れ合いになって連立のみずみずしさを失ってしまいます。従って、健全な連立を維持するためには、深い友情と信頼関係に支えられた良好な緊張関係が必要だと考えています。
Q5 最近の公明党は、官邸や自民の言いなりになっているのではないか。
〇公明党をご支援いただいている皆様に大変申し訳なく思っています。行政文書の改竄、廃棄、隠蔽問題は、民主政治の根幹に関わる問題であり、このことは党幹部も厳しく指摘をしてまいりました。政府与党の協議会などでも、代表や幹事長から厳しく注文をつけています。
〇公明党の考えが、もっと国民の皆様に分かりやすく伝わるように発信をしてまいります。国民の皆様から「与党に国民目線の公明党がいるから安心だ」、そう言っていただけるように頑張って参ります。
今後とも公明党に対する暖かいご支援をどうぞ宜しくお願い申し上げます。
以上
平成30年6月15日
公明党 漆原 良夫