政府と自民、公明の与党両党は7日昼、首相官邸で連絡会議を開き、席上、公明党の山口那津男代表は、大手広告代理店で女性新入社員が過労自殺した問題で、残業時間の一部を「自己啓発」と称して意図的に過少申告させていた疑いに言及し、「業務上、必要な自己啓発などは勤務扱いに改めるなど、ガイドライン(指針)を早急に示すことも含めて迅速に対応してほしい」と訴えた。
山口代表は、残業時間の過少申告などが「常態化しないよう手を打つことが、働き方改革の第一歩だ」と主張。その上で、「今こそ働く人の立場に立った改革を進めていかなければならない」と力説し、党働き方改革実現推進本部でも、職場のメンタルヘルス(心の健康)対策強化などで政府に提言を行う方針を伝えた。
安倍晋三首相は「働き方改革をしっかりやっていきたい」と述べ、子会社や下請けの労働実態も注視する必要があるとの考えを示した。
また、高知県黒潮町で「世界津波の日」(11月5日)にちなんで今月25、26の両日、30カ国・地域の高校生が参加する行事が開かれることに山口代表は、「防災を担う各国の人材を育成する大切な行事だ。政府もあらゆる協力、支援体制をお願いしたい」と求めた。
一方、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に今後派遣される予定の自衛隊の施設部隊に対し、「駆け付け警護」などの新任務を付与するかどうかについて山口代表は、現地の治安情勢を慎重に見極め、「与党の意見も踏まえて総合的な判断を下してほしい。自衛隊が参加する意義などを国民に分かりやすく丁寧に説明することが重要だ」と指摘した。
これに対して安倍首相は、駆け付け警護に関し、自衛隊が活動する近辺の国連スタッフや日本のNGO(非政府組織)職員らの不安に対応すると説明した上で、「自衛隊が他国軍の危機的な状況を助けることは事実上ない。新任務の付与については、しっかり訓練をして、法的な裏付けを持ってやっていく。緊張感を持って判断したい」と応じた。