4月26日衆議院第1議員会館で「日本弁護士連合会」主催による「司法修習生への給費の実現と充実した司法修習に関する院内意見交換会」が行われました。しかもこの意見交換会に、衆参382名もの国会議員が党派を問わず賛同のメッセージを寄せてくれたことは、大変大きな励ましになったと思います。
リーガルマインドに満ちた、人間性豊かな法曹をどのように養成すべきか、司法制度改革の大きなテーマの一つでした。私たちは、日本の法曹養成システムをこれまでの「ガリ勉詰め込み式の一発合格主義」から、「大学における法科教育→ロースクールにおける法科教育→司法研修所における法科教育」に変更しました。いわば、法曹の育成を「点」から「線」に変えたのです。私は、このこと自体は、正しい選択だったと思っています。しかし、これによって、法曹を目指す受験生や司法修習生に時間的、経済的に大きな負担をかけることになります。
私達は、これからの日本の社会は、いわゆる訴訟中心の「事後チェック型社会」から、「事前チェック型社会」に変わっていくと考えました。そして、そこで求められる弁護士は、これまでのように訴訟中心の活動だけではなく、企業や行政や海外に積極的に打って出て活躍することが求められ、法曹養成も弁護士の数もその要請に応えうるものでなければならないと考えました。
弁護士の需要は無限にあり、その未来は洋々と開けている、そんなある種の興奮がありました。このいわば、右肩上がりの発想の中で修習生に対する給費が「給費制」から「貸与制」に変更されたものと理解しています。
しかし、現実は大変厳しく、右肩上がりの発想はいわゆるリーマンショックによってもろくも崩れてしまいました。ロースクール出身者の司法試験合格率は予想を大幅に下回り、弁護士の需要は一向に増えず、弁護士になっても弁護士事務所に就職さえ出来ないという驚くべき経済状況になりました。理想に燃えた「点」から「線」への新しい法曹養成制度は、今や、受験生や司法修習生にとって時間的、経済的に過重な負担を伴う制度となってしまったのです。
年々司法試験受験者数が減少しています。三権の一角を担う司法に対する魅力が亡くなり、優秀な人材が集まりにくくなっているとしたら民主国家にとって由々しき事態です。
人こそ国の基です。魅力ある司法を回復し、優秀な人材を確保するために是非とも「給費制」を復活させるべきだと思います。全力で頑張ります。
平成28年4月27日
公明党衆議院議員 漆原 良夫