政府と自民、公明の与党両党は8日昼、首相官邸で連絡会議を開き、席上、公明党の山口那津男代表は、北朝鮮が7日に事実上の長距離弾道ミサイルを発射したことについて、「先月の核実験に続くわが国や国際社会の安全に対する直接的で重大な脅威だ。断じて容認できない」と強調した。
その上で、政府に対し「関係省庁を挙げて情報収集、分析、警戒監視に最大限の尽力をすることはもとより、引き続き、不測の事態に備えて、国民の安全・安心の確保に万全を期してもらいたい」と要請。
わが国独自の制裁措置の検討に加え、「米国、韓国をはじめ、中国やロシアなど関係諸国との緊密な連携の下で、国際社会が一致して北朝鮮に核、ミサイル開発の断念を強く求めるよう促すべきだ。拉致、核、ミサイルといった諸問題の包括的解決に向け、政府・与党一体となって力を尽くしたい」と訴えた。
安倍晋三首相は、「拉致、核、ミサイルといった懸案の包括的な解決のため、わが国独自の措置、方針を固める。具体的な中身の検討を速やかに進め、北朝鮮に対し毅然、断固たる措置を取っていく」と述べた。
また、山口代表は、衆参両院でミサイル発射に抗議する非難決議を速やかに採択すべきだと力説した。
一方、政府・与党は、2016年度予算案や、赤字国債の発行を認める特例公債法改正案、税制改正法案などについて、年度内成立へ全力を挙げることを確認。安倍首相は「16年度予算を一日も早く成立させることが最大の景気対策」と指摘した。
日米など12カ国が署名した環太平洋連携協定(TPP)について、安倍首相は速やかに国会承認を求める手続きに入る方針を示し、「日本が率先することで早期発効に向けた機運を高めていく」と強調。山口代表も「早期承認、発効へ力を尽くす」と述べた。
さらに、安倍首相は、政府が今春に示す1億総活躍社会への工程表の策定に向け、今月下旬から各地で国民の意見を聞く対話集会を開く方針を表明。山口代表は、政府・与党が十分に情報を共有しながら進めていく必要性を語った。
『安保理が非難声明/新たな制裁決議「迅速に採択」』
【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は7日、北朝鮮の事実上の長距離弾道ミサイル発射を受けて緊急会合を開き、終了後、発射を「強く非難する」と明記した報道機関向け声明を発表した。パワー米国連大使は会合後の記者会見で、度重なる北朝鮮の挑発行為に「いつも通り」に対処するわけにはいかないと述べ、実質を伴う制裁強化のため「厳格で前例のない措置」をめざす意向を強調した。
安保理は声明で、発射がこれまでの安保理決議に対する危険で深刻な違反に当たると指摘。「発射は北朝鮮の核兵器運搬システム開発を助長する」と強い危機感を表明した。
その上で声明は、新たな決議を「迅速に」採択すると断言し、1月の核実験を受けて続いている制裁強化決議案の交渉を加速させる考えを強調した。ただ、パワー大使は決議案採択の時期を問われ、「できる限り早く」と述べるにとどめた。
『党対策本部 政府の説明聴取』
公明党北朝鮮問題対策本部(本部長=井上義久幹事長)は8日午後、衆院第2議員会館で、北朝鮮が7日に長距離弾道ミサイルを発射したことを受け、内閣官房や外務省、防衛省から事実関係のほか、日本政府と国際社会の対応などについて説明を聞いた。山口那津男代表、井上幹事長らが出席した。
質疑応答で政府側は、平和安全法制が整備されたことによる効果について、「日米韓で緊密に協力することができた」との認識を表明した。北朝鮮による日本人拉致問題についても、引き続き重要な課題として取り組む方針を示した。