政府は18日夕の臨時閣議で、2015年度補正予算案を決定した。これに先立ち、政府・与党は首相官邸で政策懇談会を開き、政府が補正予算案を提示。公明党は政務調査会の全体・部会長合同会議で了承した。
懇談会後、公明党の山口那津男代表は記者団に対し、1億総活躍社会に向けた「国内総生産(GDP)600兆円」「希望出生率1・8」「介護離職ゼロ」の実現のための緊急対策や、大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)関連の対策を補正予算案に計上したことで「迅速な対応ができた」と強調。今年9月の関東・東北豪雨被害からの復旧経費やテロ対策などを盛り込んだことも踏まえ、「機敏に現下の情勢や国民生活に配慮した対応になった。高く評価したい」と述べた。
補正予算案には、公明党の主張が随所に反映された。1億総活躍社会実現への緊急対策には総額1兆1646億円を計上。17年度末までに保育サービスの受け皿を新たに50万人分増やすための保育所などの整備のほか、ひとり親家庭の自立に向けた資格取得を応援する制度創設などを盛り込んだ。
また、20年代初めまでに介護サービスの受け皿を新たに50万人分増やすため、介護基盤の整備加速化事業やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の整備の経費を計上。介護人材の確保へ、介護職をめざす学生への支援なども進める。
さらに、消費の喚起と安心の社会保障の観点から、賃上げの恩恵を受けにくい低所得の高齢者(65歳以上)に3万円の臨時給付金を支給するほか、投資促進・産業の生産性革命に向けた対策、地方創生の本格的展開も掲げた。
一方、TPP関連では、総額3403億円を投じる。このうち攻めの農林水産業への転換に向けては、地域ぐるみで高収益化をめざす畜産クラスター事業や農地の大区画化・汎用化などを進め、輸入農作物との競争に備える。
さらに、災害復旧・防災・減災事業には5169億円を確保。緊急的な火山観測体制の強化などを進める。学校の安全確保や避難所としての機能強化に向けた耐震化やトイレ改修、空調などの施設整備に438億円を盛り込んだ。また、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興加速に向け、8215億円を計上した。
補正予算案の事業費は総額3兆5030億円。15年度当初予算で予定していた新規国債発行額の減額分などを差し引き、全体の歳出額は3兆3213億円となる。財源は、14年度剰余金や15年度税収の上振れ分で賄う。