政府と自民、公明両党は5日昼、首相官邸で連絡会議を開いた。席上、公明党の山口那津男代表は、現下の景気・経済情勢について、「消費、生産の回復に弱さが見られるなど、デフレ脱却、持続的な経済成長、好循環に向けて、これからが正念場だ」との認識を示した。
その上で、「特に輸入原材料価格と燃油価格の高騰や、今夏以来の災害復旧への対策、消費を喚起するといったところに目配りしながら、年末に向け与党として補正予算も含め積極的に検討したい」と力説した。
安倍晋三首相は、エネルギー価格の高止まりや夏の天候不順などによる景気への影響に留意する必要性を強調。4日から始まった有識者による景気点検会合で「必要な処方箋も含め、意見をいただきたい」と述べるとともに、7〜9月期の国内総生産(GDP)速報値など各種経済指標をよく見ながら「経済の状況に慎重に目配りしたい。与党と連携を密にしていく」との考えを示した。
臨時国会の対応について山口代表は、「まち・ひと・しごと創生法案や労働者派遣法改正案、女性の活躍推進法案など重要法案の成立を政府・与党で期していきたい」と表明。
政治資金をめぐる問題には、「国民から厳しい視線が寄せられている。与野党問わず、きちんと襟を正し、信頼される政治を取り戻さなければならない」と強調し、政治課題の解決へ政府・与党の結束を呼び掛けた。
また、山口代表は、自らが2日に福島県川内村を訪問し、被災者の声を聞いたことに触れ、「生活再建への道のりの難しさを感じた。被災者個々の実情に寄り添ったきめ細かな対策が望まれる」と強調。福島の再生へ、「被災自治体と国が一体となって、『人間の復興』に向けた歩みをさらに加速化させていくことを確認し合いたい」と訴えた。
日中関係 胸襟開いた対話に期待
一方、外交に関して安倍首相は、今月中旬に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議、20カ国・地域(G20)首脳会議にそれぞれ出席する意向を表明し、「一連の会合を通じて、各国首脳との2国間会合を精力的に行う」と述べた。
これに対し、山口代表は、北京で開かれるAPECに関して、経済、技術協力分野にとどまらず、食料安全保障や防災など人間の安全保障まで活動範囲を広げてきていると指摘。「こうした中で、世界第2位、第3位の経済大国である日中両国が地域の安定と反映に果たす役割は極めて大きい。さまざまな課題があればこそ、胸襟を開いて対話が前進することに期待したい」と力説した。