政府と自民、公明の与党両党は9日昼、首相官邸で内閣改造後初となる連絡会議を開いた。席上、公明党の山口那津男代表は、「優先課題として(東日本大震災の)被災地の復興加速、経済再生、社会保障と税の一体改革などを着実に進めていくことが国民の期待の主たるところだ。与党としても政府と協力して国民の期待の実現に努力していきたい」と述べた。
山口代表は、経済情勢について「経済の好循環が全国津々浦々まで十分に及んでいないことを自覚しなければならない」との認識を示し、物価の上昇に所得の上昇が追い付かず、実質の可処分所得が増えていないと指摘。賃金上昇、雇用の確保に向けて「政労使の会議を積極的に活用するなど、企業収益を着実に賃金の上昇につなげる環境整備が引き続き重要だ」と訴え、政府に十分な対応を促した。
改造内閣の新たな重要政策課題である地方創生に関しては、年末の来年度予算編成で「内容が重複しているようなことは徹底的に排除し、真に必要な施策や制度をパッケージとして自治体に提案できるように工夫してもらいたい」と強調。
さらに、国と地方の協議の場などを通じて、各自治体の実態とニーズに即した施策を打ち出すべきだとした上で、「地元住民の知恵と発想を柔軟に展開できる仕組みづくりが重要だ」との考えを示した。
これに対して安倍晋三首相も、「従来の発想にとらわれない大胆な政策を力強くスピード感を持って実行することが必要だ」と述べ、与党の協力を求めた。
また、山口代表は、広島市北部での大雨による大規模な土砂災害について、避難生活者へのきめ細かな支援を要請。局地的な集中豪雨による土砂災害は全国各地で起こり得ることから、「警戒区域」の指定を円滑に進められるようにするなど、土砂災害防止法を改正する必要性に言及し、政府に対して「秋の臨時国会で成し遂げられるよう、積極的に努力してもらいたい」と訴えた。
その上で、今回の土砂災害に関して「国民に提供した情報が、国民にどれだけ十分に活用されているか」と問題提起し、「災害リスクコミュニケーション(危険に対する意思疎通)を充実させ、災害(の被害)を回避するといった幅広い対応にも心を配ってもらいたい」と強調した。
安倍首相は、「土砂災害防止法の改正のほか、危険箇所の周知や行政の対応の緊急点検など、対策を次々と講じたい」と述べた。
中国や韓国との関係について山口代表は、「改善を期待する声が内外に満ちている」と指摘。11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や、今月11日にソウルで開かれる日中韓の外務次官級協議を活用するとともに、「政府・与党が連携し、議員外交で政府の外交を補うような活動も考慮しながら、あらゆる人脈やチャンネルを生かして取り組んでいくべきだ」と力説した。