平成25年12月25日
【特定秘密保護法「ウルさんのQ&A」
 
特定秘密保護法について「ウルさんのQ&A」

 

Q1、 特定秘密保護法とはどんな法律ですか。

A、 @ はい。この法律は、国民の安全や国益を守るために、情報の漏えいを防ぎ、国内外から       情報を入手し、政府の安全保障や外交政策に役立てることを目的としています。
    そのために、安全保障にかかわる機密情報を漏らした公務員らの罰則が強化されています。
   A 余談ですが、「秘密保護」というと、何となく官僚の情報隠しが連想されます。官僚が、恣意      的に秘密の指定をして自分に都合の悪い情報を隠してしまうのではないか、とよく言われ      ます。
    しかし、この法律は、我が国及び国民の安全のために公務員による情報漏えいを防止する     ための法律です。したがって、むしろ「国家機密漏えい防止法」と説明した方が皆さんの理解    を得やすいようですね。


Q2、 そもそも国の情報は国民のもので、全部国民の前にオープンにするべきではないのですか。

A、 円満な家庭では、秘密などない方がよいのかもしれませんね。 然し、熾烈な生き残りをかけて   戦っている企業では、むしろ 「企業秘密」はあって当然でしょう。商品の開発や販売戦略が 漏   れたのでは到底その企業は生き残れません。
    国と国の関係も同じです。防衛や外交に関する機密(たとえば大量破壊兵器や国際テロ活動   、兵器の性能、外交の暗号など)がそれを取り扱う公務員によって安易に漏えいされるようで    は日本の国が持ちません。
    他方で国民の知る権利の保護も大切です。民主政治は、国民の厳しい批判にさらされなけ    ればなりません。国家秘密の保護と国民の知る権利との絶妙なバランスが必要になります。あ   とで説明しますが、「国民の知る権利」については、公明党がしっかり手を打っています。


Q3、 今、「特定秘密保護法」を作る必要性はなんですか。

A、 @ はい。北朝鮮による核・弾道ミサイルの開発、中国による、一方的な防空識別圏の設置な     ど、日本の安全保障環境が厳しさを増しています。欧米各国と緊密に連携し重要な情報の     入手に努めなければなりません。
    しかし、残念なことに「秘密保護」に関する日本と欧米との法制上の格差が大変大きいのです    。そのため、秘密を漏えいした公務員らの処罰をもっと重くしないと諸外国からの情報が入手    できないのです。日本の、情報保護に対する信頼を高めることが必要です。

   A なお、「秘密保護」に関する、日本と欧米の法制上の格差は、以下の通りです。
    秘密の「漏えい罪」に対する罰則。米国→「死刑、無期、有期刑」、英国→「3年以上14年以    下の自由刑」、仏国→「15年以下の自由刑。これに対し、日本の国家公務員法では「1年以    下の懲役または50万円以下の罰金」にすぎないのです。


Q4、原発事故の情報(メルトダウンの情報)や放射能汚染情報(スピーディー)は、秘密になるのですか。
A、 原発事故情報や放射能汚染情報は、特定秘密の対象になりません。
  特定秘密に指定される情報は、安全保障に関する情報のうち @、防衛 A、外交 B、スパイ  活動 C、テロ防止の4分野に限定されています。
  

Q5、特定秘密保護法は、集団的自衛権の行使を容認し海外での戦争を可能にする軍機法案だ。こんな法律に何で公明党が賛成するのですか。
A、  国会を囲んでのデモ隊の皆さんからも、「戦争反対」、「集団的自衛権の行使容認反対」の声   が多く聞かれました。一部のマスコミや政党からもそんな論調が聞かれます。             戦争や集団的自衛権の行使の容認には公明党は、断固反対です。然し、この法律の何処をと   っても、「戦争」や「集団的自衛権行使」、を容認したと読める条文がないのです。
   では、条文上の根拠がないにもかかわらず、なぜこんな論調になるのか。彼らの論法は、概ね   次のように集約されます。
   @ 安倍さんは右翼だ。→A憲法9条を改正し、海外で武力行使ができる国にしたいと目論ん    でいる。→Bそのために、集団的自衛権行使を容認する解釈改憲をする。→Cその一環とし    て集団的自衛権行使容認に反対の内閣法制局長官を更迭した。→Dそして、国民の知る権    利、報道の自由を制限するために特定秘密保護法を作った。

   このような論法で、「特定秘密保護法案=戦争法案・集団的自衛権容認法案」というのであれ   ば、安倍政権の法案はすべて戦争法案になってしまいます。

    大新聞や政党が、「特定秘密保護法案=戦争法案」と位置つけるのであれば、国民にその   根拠をきちんと示す必要があると思います。法律上の根拠を何も示さないで、特定秘密保護法   が成立したら「戦争になる」、「集団的自衛権の行使容認だ」「治安維持法の再来だ」、「思想や   言論統制がされる」「戦前・戦中の暗い社会になる」などと、いたずらに国民の不安を煽り国民世  論を誘導する手法は、禁じ手だと思います。


Q6、この法律は、治安維持法の再来だ。この法律が成立すると戦前のように、国民が自由にものも言えず、暗い監視社会になるといわれますが、公明党がなぜこんな法律に賛成するのですか。

A、  はい。この法律は、治安維持法とは全く違うのです。治安維持法は、国体(天皇)や私有財産   制の否定を目的とする結社や運動を取り締まるために制定された法律です。 
   この法律によって、共産主義運動のみならず、政府の政策を批判する多くの宗教団体や自由   主義運動が弾圧された歴史は、十分に認識しています。
   @ しかし残念なことに、「特定秘密保護法は治安維持法の再来だ」と叫ぶ人から、なぜそうい   えるのか条文上の根拠を聞いたことがありません。稀代の悪法と同じだというのであれば、そ   の根拠を国民に明らかにするべきだと思います。
   A この法律が成立すると「国民が自由にものも言えず」「暗い監視社会になる」というのも全く   根拠がなく誤解です。
   治安維持法は、すべての国民の思想信条、行動を取り締まりの対象にしていましたが、この法  律の対象者は、「特定秘密の取扱者」である公務員であって、一般国民ではありません。
  したがって、この法律ができたからと言って一般の国民が表現の自由を制限されたり、その思想  信条や言動を国家から監視や統制されたりすることは、全くありません。
  B 私は、新潟の老齢なご婦人から「私たちは、戦時中治安維持法によって大変つらい思いをし  ました。日本が、再びそんなことにならないように、公明党さんにお願いします」と訴えられました  。
  治安維持法と聞いただけで多くの国民が条件反射的に反応します。辛くて暗い思いが、多くの国  民の記憶に残っているのです。私は、この老婦人の想いを、自身の政治生命をかけて守り貫こ  うと決意をしています。


Q7、新聞などでは、この法律ができたら私達一般国民も処罰されるといっていますが、私達が処罰されることもあるのですか。

A、この法律では、極めて例外的な場合を除き、特定秘密を取り扱う  公務員以外の一般国民が  処罰の対象となることはありません。
   公務員以外の一般国民が処罰されるのは、@外国の利益等を図る目的で、A暴行や窃盗等  により特定秘密を取得する、Bその際、  その情報が「特定秘密」であることを認識しているこ  と、の要件が必要です。スパイならいざ知らず、普通に生活している国民にとってこの要件に該   当する人はいません。
   したがって、(民間人が)「原発や基地の情報を探ろうとしただけでも、処罰される可能性がある  」(H25・12・6朝日朝刊)との指摘は、全くの的外れです。また、新潟日報では、この法案に関   する半藤一利氏の話として「戦前、戦中は軍港で写真を撮ったり、飛行場で見た飛行機の話をし  たりしただけで逮捕されました」(H25・12・8朝刊)との記事を掲載していますが、この話と特定  秘密保護法とは、何の関係もありません。
   普通に生活をしている一般国民が、この法律で処罰されることなど考えられません。

Q8、 「共謀」、や「教唆」、「煽動」した民間人も処罰されることがあるのですか。

A、はい。国家の安全や、国民の生命身体にかかわる「特定秘密」の漏えい防止を確かなものにす  るためには、特定秘密を漏えいさせようと働きかける行為も禁止する必要があります。その働き  かけの方法として、共謀、教唆、煽動が禁止されています。
 1、朝日新聞(H25・12・5付け朝刊)は、「市民団体の集会で『秘密を明らかにしよう』と呼びかけ  、国の機関の前でも拡声器で『秘密を明かせ』と訴えた。その後Aさんは突然、特定秘密保護法  違反(煽動)容疑で逮捕、起訴された。」との記事を掲載しています。
   少し難しくなりますが、法律用語の解釈をします。「煽動」とは、不特定又は多数人に犯罪を実  行する決意を生じさせ、または既に 生じている犯罪実行の決意を助長させるような勢いのある  刺激を与えることを言います。
   市民団体の集会で「秘密を明らかにしよう」と呼びかける程度では、犯罪を実行する決意をさ   せたり、すでに生じている犯罪実行の決意を助長させるものとは言えません。したがって、Aさん  が逮捕、起訴されることはありません。    
 
2、同じ記事の他の部分では、「特定秘密保護法案は、特定秘密を@暴こうと話し合う『共謀』A教   えてほしいと持ちかける『教唆』B明らかにしようと呼びかける『煽動』も5年以下の懲役と規定し  ている。つまり、市民が秘密を知ろうとしただけで、処罰される  可能性があるということだ」と   記述しています。
  法律解釈にもう少し付き合ってください。この法律において「共謀とは、2人以上のものが漏えい  等の実行を具体的に計画して、合意することです。単に、「暴こうと話し合った」程度では共謀に  あたりません。
  「教唆」とは、犯罪を実行させる目的をもって、他人に対して、具体的な犯罪の実行を決意させる  ことを言います。単に、「教えてほしい」と持ちかける程度では教唆にあたりません
  「煽動」は、1で説明したとおりです。

3、  特定秘密保護法で「共謀」、「教唆」、「煽動」が処罰されることで、国民の権利が不当に制限さ  れるのではないかと不安に思われるかもしれません。
   しかしこれは、今の国家公務員法や自衛隊法と同じで、特定  秘密保護法で新たに処罰の   対象になるのではありません。また、共謀や教唆、煽動の定義も判例上確定しており、不当に拡  大解釈される心配はありません。


Q9、この法律の作成にあたって「国民の知る権利」や「報道の自由」、「取材の自由」について、公明党は、どのような関与をしたのですか。

A、 はい。この法律を作る際、公明党案と政府案の最も大きな争点の一つでした。
  「国民の知る権利」やそれに資する「報道の自由」、「取材の自由」は、民主主義の大前提です。  次に述べるように政府と大激論の末、政府に公明党案を承服させ法案を作成することができま  した。
1、 政府案では「この法律の適用にあたっては、報道の自由に十分に配慮する」をいう、いわゆる「  配慮規定」が1本あっただけでした(特定秘密保護法第22条)。
   しかし、これだけでは、「取材の自由」はあるのかないのか、「国民の知る権利」との関係はどう  なるのか、全くわかりません。そこで、「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に  十分に配慮しなければならない」と修正させました。これによって、「報道の自由」とともに「取材   の自由」も保障され、そのいずれの自由も「国民の知る権利」の保障に資する大切な基本的人   権であることが明白になりました。

2、 しかし、私たちは、解釈の指針としてこの条文があるだけではまだ不十分と考えました。
  メディアなどの報道機関の取材の委縮は、国民の知る権利の空洞化につながります。「取材の   自由」や「報道の自由」の保障が法律上担保される法律構成はできないものかと悩みました。そ  の結果、お医者さんが、患者の身体にキズをつけても傷害罪にならないのは、刑法上「正当業   務行為」とされているからだということに気付いたのです。
 @ そこで、第22条に第2項を新設し「出版または報道の業務に従事する者の取材行為について  は、(中略)これを正当な業務による行為とするものとする」としたのです。刑法第「35条によれ   ば、正当な業務による行為は、罰しない」とされています。
 A  少し実務的な話になりますが、この第2項の新設によって 立証責任が検察に転換されてい  ます。裁判は、立証責任を負った側が負けるとさえ言われています。
  この規定がないと、メディアの側に「自分の取材行為は正当だ」という立証責任があります。然し  、第2項の新設によって検察側に「この取材行為は、不当だ」という立証責任が転換されたので  す。
 B この修正によって、報道機関の取材や報道の自由は十分に担保され、その結果、「国民の知   る権利」もしっかりと保障されることになります。

3、 なお、石破発言が物議を醸していますが、これは、石破氏の単純な法律解釈の誤りです。報道  機関が、正当な取材行為によって取得した情報を報道したからと言って処罰されることはありま  せん。
 

Q10、 政府が、恣意的に秘密指定を拡大し、都合の悪い情報を国民から隠してしまうのではないですか。

A、 この法律が、ご指摘のように政府の情報隠しに使われたのでは、「国民の知る権利」が侵害さ  れることになります。政府による 恣意的な情報隠しを防ぎ、「国民の知る権利」が十分に守られ  るように公明党は、ここでも知恵を絞りました。具体的には、次のように「4つの関所」を設けて、  恣意的な情報隠しを防止しています。
 1、政府が、自分勝手に何でも自由に秘密指定をすることはできません。
   政府が秘密指定できるのは、安全保障に関する情報のうち、 @防衛 A外交 Bスパイ活動   Cテロ防止、の4項目に限定 されています。
  また、4項目について更に「別表」を設け、各項目ごとにそれぞれ絞り込みをしています。

 2、仮称「情報保全諮問会議」の設置。
   @公明党の主張により、政府は、特定秘密の指定・解除などについて「統一的な運用を図るた   めの基準を定める」ことになりました。役人が、自分勝手に判断できないようにしました。

   A そして、政府が、基準を作る場合には「優れた見識を有する者の意見を聞いたうえで」作成   することにしました。いわゆる、第3者による有識者会議です。官僚任せにしないで、  情報保   護、情報公開、公文書管理、報道、法律の専門家の   皆さんの意見を基準作りに反映させ   ることにしました。

 3、仮称「情報保全管理室」の設置。
  @ ここは、自民、公明、維新、みんなで修正したところです。   有識者の意見を聞いて作られ   た「基準」が適正に運用されているかどうか検証する必要があります。
    そこで、特定秘密の指定、解除等の適性を確保するため、  独立性の高い第3者機関を設   置することにしたのです。

  A この第3者機関は、修正案では、「独立した公正な立場において検証し、監察することのでき   る新たな機関」として位置づけられています。
   したがって、各行政機関による個別の特定秘密の指定、解除等の適否を検証、監察し、不適    切なものについては是正させることができる機関ということにしました。

  B この第3者機関は、この法律が施行されるまでに、内閣府に 20人規模の体制で設置される   予定です。

 4、 保存期間後は、公文書館で公開
   ここも公明党が、頑張ったところです。秘密指定の必要性が なくなった情報を速やかに国民    に公開することは、民主主義の観点から当然です。

    安倍総理の答弁や条文上の規定によって、保存期間経過後の情報はすべて国立公文書館   で公開されることになりました。これによって、秘密が闇から闇に葬られる心配はなくなりました   。
    また、情報が公開されることによって、秘密の内容や秘密指定の正当性が後世の国民の批   判にさらされることになります。
 
                                          以上