平成25年7月1日
通常国会 奮闘した公明党
 
通常国会 奮闘した公明党/漆原良夫国対委員長に聞く

 
 昨年末に自公連立政権が発足してから、初めての本格的な国会となった第183通常国会(会期150日間)が閉幕した。公明党は連立与党の一角として、政権の最優先課題である「経済再生」と「震災復興の加速」をはじめ、数多くの成果を残した。公明党が果たした役割や闘いについて、漆原良夫国会対策委員長に聞いた。=2面に通常国会の主な成果一覧表
 『経済再生、復興、防災で成果』
 『成年被後見人の選挙権回復など“小さな声”から政策実現』
 ――4年ぶりに与党として臨んだ通常国会の成果は。
 
漆原良夫国会対策委員長 通常国会は、民主党政権下でどん底状態に低迷した景気・経済をどう回復させ、デフレから脱却していくかが重要なポイントだった。
 そこで自民、公明両党の連立政権は、2012年度補正予算や13年度暫定・本予算を次々と組んで成立させ、防災・減災対策などで需要を喚起した。
 さらに、「大胆な金融緩和」を日銀と連携して進め、「成長戦略」も打ち出した。こうしたスピード感と決断力のある政権の取り組みに市場が反応し、株価上昇や円安という形で景気・経済の明るさを国民が感じられるようになった。これが最大の成果だ。
 ――政府提出法案の成立率が84%。連立与党の国会運営については。
 漆原 1月の国会冒頭から、予算審議が5月15日まで続いた関係で法案審議の時間が短かったにもかかわらず、民主党政権よりも高い法案成立率となった。
 参院の“ねじれ”という条件は同じなのに、多くの法案が成立できたのはなぜか。各委員会の与党理事が審議促進に向けて野党側と真剣に協議し、法案の議論に臨んだからだ。また、閣僚の失言やスキャンダルなどで国会審議がたびたび紛糾した民主党政権とは対照的に、自公政権の閣僚は失態もなく、国会審議がストップする事態が少なかったこともある。
 「日本再建」へ団結して取り組もうという自公両党の使命感と政権担当能力の高さが如実に表れたのではないか。
 ――公明党らしい成果は。
 
漆原 例えば、成年被後見人の選挙権が奪われていた問題では、地裁の違憲判決を受けて速やかに選挙権回復への法案を作り、自民党など各党の賛成を取り付け、判決後2カ月余りという異例のスピードで成立させることができた。いじめ防止法や、配偶者による暴力(DV)やストーカーの対策を強化する法律も議員立法で成立させた。いずれも、「小さな声」を聴いて政策実現する公明党らしさを象徴する実績だ。
 また、憲法改正を急ぐかのような主張が一部で見られたが、公明党は「最優先課題は経済再生や被災地の復興加速だ」と訴え、政権の方向性を国民が望むところに落ち着かせてきた。
 世論調査では半数以上が自公連立政権の継続を望んでいるとの結果も出ている。
 国民目線を貫く公明党の持ち味を多くの国民が認識し、「連立政権に公明党がいれば安心だ」と思っていただいているからではないか。


 『参院選で“ねじれ”に終止符/重要法案への対応 民主は党利党略を優先』
 ――今国会での野党第1党である民主党の国会対応について。
 漆原 民主党は党利党略に終始した。衆院小選挙区を「0増5減」する区割り改定法案について、衆院が速やかに参院に送付したにもかかわらず、審議入りしないまま、60日間もたなざらしにした。
 最高裁から国会に対して衆院小選挙区の「1票の格差」是正を要請され、昨年末の衆院選に対する最高裁判決が今秋にも示されようとしている中、国会としてまず先にそうした要請に応えていかなければならない。しかし、参院で主導権を握る民主党は審議入りすらせず、サボタージュした。これは野党としてというより、政党、国会議員として自覚がなさ過ぎる。
 ――会期末の民主党の迷走はひどかった。
 漆原 国会閉幕の26日には、民主党の細野豪志幹事長が、電気事業法改正案などの重要法案について「国のために成立させます」と大見えを切ったのに、みんなの党、日本維新の会などと共に、少数会派の生活、社民、みどりの風の3党が提出した安倍晋三首相に対する問責決議案に賛成して、廃案にしてしまった。
 また、民主党はガバナンス(統治力)がない。海江田万里代表が党首討論を提案したにもかかわらず、民主党の国対は「代表が個人的に言ったこと」と言って、予算委員会集中審議を求めた。参院外交防衛委員会では、民主党政権下で締結した5条約について、審議効率化のため与野党が合意して参院先議と決めたにもかかわらず、民主党の筆頭理事が審議を引き延ばした揚げ句、「2条約以外はやらない」と言って残りの3条約は廃案となった。民主党は政党間で決めた約束を守らなかった。
 民主党は結局、政局を優先し、国民に必要な法案は通すという決意が足りない。こうした政治はもう終わりにしないといけない。
 ――まさに“ねじれ”の負の側面が明らかになった。
 
漆原 衆参の“ねじれ”によって、党利党略で国民生活に必要な法案を犠牲にするような政党に、主導権を握らせておくわけにはいかない。参院選で自公で過半数を確保して“ねじれ”を解消し、国民目線で機動的な政策を実行できる態勢をつくることが重要だ。
 これから一番大事なことは、成長戦略という「設計図」の具体化だ。次の臨時国会は「成長戦略実現国会」とも位置付けられる。国民に所得や雇用などが増えたという実感を持ってもらえる政治を実行できるかどうかが重要だ。それだけの政治力を構築できるかが、参院選の大きな意義になる。


(平成25年6月28日・29日付け公明新聞より転載)