平成23年8月28日
公明 現場発の政治貫く
 
通常国会閉幕へ/公明 現場発の政治貫く/漆原良夫国対委員長インタビュー

 
 東日本大震災による被災地の復旧・復興対策が最大の焦点となった今通常国会は、31日に会期末を迎えます。その中にあって公明党は、「現場発」の政策実現に全力を挙げてきました。今国会における公明党が果たした役割や成果などについて、漆原良夫国会対策委員長に聞きました。
 『議員立法で国会動かす/東日本大震災/復旧・復興へ粘り強く協議』
 ――会期末まであと数日と迫りました。
 漆原国対委員長 今国会は、松本前復興担当相の辞任騒動や九州電力玄海原発の再稼働をめぐる大混乱、さらには菅首相による突然の「脱原発依存」表明に対する党内、閣内からの猛反発などに象徴されるように、菅首相の身勝手な振る舞いで、政府・与党が崩壊した国会でした。
 また、このような機能不全に陥った政府・与党の姿を目の当たりにした国民の多くは、菅政権を信用しなくなりました。復旧・復興が急がれる中で、首相の存在そのものが大きな“障害物”となったのです。
 ――公明党はどう対応しましたか。
 漆原 公明党の基本的姿勢は「政権に対して厳しく対峙はしても、被災地の復旧・復興は与野党挙げて全力で取り組むべき」ということです。そして私たち公明党は、その努力は惜しみませんでした。
 しかし、菅政権は与野党の協調態勢を築くどころか、打つ手があまりに遅く、支援策が遅々として進みませんでした。ならば私たち公明党が、議員立法で課題を解決しようと動いたのです。
 その端的な例が、被災地復興の枠組みを定めた「復興基本法」の成立です。これには被災自治体の声に基づいた公明党の主張がすべて盛り込まれました。ほかに、善意で寄せられた義援金などを差し押さえることを禁止する法律など、次々と成立させました。
 加えて公明党は、政府に対して延べ13回、610項目にわたる政策提言・要望を行いました。この結果、今国会で公明党が主導し、成立した震災関連の法律や予算は11本に上ります【表参照】。
  ――他の法案についてはどうでしょうか。
 漆原 残念ながら、二重ローン対策関連法案、東電福島原発事故調査委員会国会設置法案は、継続審議となる見込みです。
 特に、公明党など野党が提出した二重ローン対策関連法案は、関係省庁の反対も強いようですが、民主党が「政治主導」を掲げるならば、省庁のタテ割り、慣例を乗り越えて政策を実現すべきです。
 本来、復興対策は、政府・民主党がどんどん法案を国会に提出してやるべきものです。しかし、全く動きが鈍く、私たちは歯がみをする思いでした。今国会は、公明党の復旧・復興への熱意が動かした国会と言っても過言ではありません。
 ――その陰には地方議員の活躍があります。
 漆原 公明党の地方議員の中には、自ら被災しながらも、「大衆とともに」の立党精神そのままに頑張っている議員が数多くいます。その中で被災者からさまざまな要望を受け、その課題解決に奔走しています。本当に頭が下がります。
 公明党は、こうした日ごろから被災者に寄り添う地方議員と国会議員がきめ細かく連携することで、多くの議員立法を提案してきました。今国会における公明党の成果は、現場に根差す公明党のネットワークの成果とも言えるのです。
 ――一部に自民、公明は政局ばかりではとの批判もありますが。
 漆原 全く違います。議員立法の実現へ民主党を巻き込みながら、与野党の協議を地道にリードしてきたのが公明党です。残念ながら、こうした地道な立法活動は、政局にかかわらないため、ほとんどメディアでは報道されていません。
 『政局より政策で判断/民主党に3党合意守る責任』
 ――震災対応のほかにも政治課題が山積しています。
 漆原 26日に、2011年度政府予算の財源となる特例公債法がようやく成立しました。これは粘り強く協議を主導した公明党の大きな成果です。特例公債法は、新たに37兆円の赤字国債の発行を認めるものです。自民党の一部では、これを解散・総選挙を迫る手段とする考えもあったようですが、公明党の考えは全く異なり、あくまで政策判断で対応しました。
 赤字国債の発行は、次の世代への“ツケ”となります。そこで少しでも次世代への負担を減らすため、公明党は、子ども手当、高速道路無料化など不要不急の予算の見直しによる歳出削減を行い、第1次補正予算に流用した年金臨時財源2・5兆円の補●(てん)などができるならば、認めてもよいとの考えでした。そして何より、日本が債務不履行になったり、国債の下落を生むような事態は避けなければならない、との危機感を持っていました。
 このため8月4日に公明党が呼び掛け、民主、自民との3党協議が始まりました。その結果、「政局より政策で判断すべき」との公明党の主張を自民党も理解し、9日に3党幹事長が合意したのです。評論家の森田実氏は、この合意を「国会の危機を救った公明党」と高く評価しています。
 ――民主党の新代表に望むことは。
 漆原 民主党でどなたが新代表になるにせよ、3党間で合意した内容は、民主党の新執行部として実行する責任がある、そのことを強調しておきたい。

(平成23年8月28日付け公明新聞より転載)