平成22年1月29日
国会の自浄作用必要に
 
鳩山政権の「政治とカネ」/国会の自浄作用必要に/補正審議と疑惑追及を国民は期待/漆原良夫国対委員長に聞く

 
 国会は、2009年度第2次補正予算案が25日に衆院を通過し、参院予算委員会での審議が始まっています。論戦のテーマとなっている景気・経済への対応と民主党に相次ぐ「政治とカネ」をめぐる問題などについて、漆原良夫国会対策委員長に聞きました。
 『公明提案の再発防止策/政規法改正し政治家の責任問う/企業・団体献金禁止へ協議機関』 
 ――第2次補正予算案と「政治とカネ」の問題への公明党の対応は。
 漆原国対委員長 現場を回って痛感することは、「厳しい景気や雇用に一刻も早く手を打ってくれ!」と悲鳴が上がっていることです。補正予算案の中身は不十分ですが、公明党は「国民生活を守る」との一点で、早期成立、早期執行が必要であると判断し、補正予算案に賛成しました。
 鳩山由紀夫首相と民主党の小沢一郎幹事長の「政治とカネ」をめぐる問題についても、「国会でしっかり解明すべき」との声が大変に強い。日々の生活に困り、仕事への不安を抱える方々が多い中で、政府・与党のトップがそろって、億を超すおカネについて、秘書に任せていたから「知らない」と。これでは国民が納得できないのは当然でしょう。
 ――民主党は「政治とカネ」より予算案審議を優先すべきと言っています。
 漆原 予算案が大事だから疑惑追及は後回しでいい、と言わんばかりの姿勢は改めるべきです。公明党は、予算も疑惑も徹底して議論すべきと主張しています。これは両方をきちんとやってほしいとの国民の声であり、国会は今こそ与野党が党派を超えて自浄作用を発揮しなければなりません。
 さらに、民主党内から疑惑解明の声が上がらず、検察やマスコミに対する言動を見ると、むしろ疑惑を封じ込めるような力が働いている。民主党として、積極的に自浄能力を発揮していただきたい。
 ――今後、国会の場で疑惑解明をどう進めますか。
 漆原 犯罪の立証は司法に委ねるべきですが、道義的、政治的な責任を問う場が国会です。まずは、公明党はじめ野党が求める「政治とカネ」の問題に関する集中審議の開催に、与党が応じることが必要でしょう。
 このため、第2次補正予算案の衆院委での採決に先立ち、民主、自民、公明の3党国対委員長で協議し、衆院予算委で「政治とカネ」の問題を含めた集中審議を2月半ばをめどに実施することを確約させました。また、党首討論も2月中に必ず行うことでも合意しました。疑惑解明へ、この機会も十分に使っていきます。
 ――再発防止に向けて、公明党はどう取り組みますか。
 漆原 現行の政治資金規正法は、会計責任者が収支報告書の虚偽記載などの不正を犯した場合、政治家本人は「選任」と「監督」の両方に責任がないと罰せられません。つまり、会計責任者を選んだ時に将来、不正行為を働くかどうかの予見にまで過失がないと罪に問えないのです。こんなことは、実際にはあり得ませんから、事実上“ザル法”といっても過言ではありません。
 そこで、公明党は、虚偽記載などの不正を抑止するために政規法改正案を国会に提出しました。政治家の監督責任に過失があれば、公民権を停止させるよう制裁を強化し、より実効性を高めることをめざしています。
 衆院予算委では、井上幹事長が今国会での成立を訴えたのに対し、鳩山首相は「前向きに検討すべきだ」と述べています。各党に協力を呼び掛け、ぜひとも成立を期したい。また、公明党がマニフェストに掲げた企業・団体献金の禁止については、与野党の協議機関設置を呼び掛けています。実現に向けて、積極的に検討を進めていくべきだと考えます。
 『なお残る疑惑、説明を』
 鳩山首相と小沢幹事長をめぐる「政治とカネ」の問題。両氏はそれぞれ釈明会見を開いたが、疑惑はなお晴れていない。
 元秘書が虚偽記載で起訴された鳩山首相は、実母からの総額約12億6000万円、一日換算で50万円に上る資金提供の使い道をいまだに説明していない。首相は、22日の衆院予算委員会で「資料が検察から返ってきた時に、事務所費など示せるところは示したい」と答弁しており、可能な限り公表すべきだ。一方、秘書らが政治資金規正法違反(虚偽記載)で逮捕された小沢幹事長は、土地代金に充てた4億円の原資について説明が二転三転している。
 2007年の記者会見で小沢氏は「政治献金」と説明。ところが昨年秋から疑惑報道が再び噴出すると「金融機関からの借り入れ」となり、その後、16日の党大会では「個人の資金」と変わった。さらに23日の記者会見では、家族名義の口座から引き出した現金が含まれていたことを明らかにした。
 両氏に共通しているのは“秘書に任せていた”とのひと言で済まそうとしている姿勢だ。国民の大半が説明に納得していない現状を踏まえれば、両氏は明確な説明責任を尽くすべきだ。

(平成22年1月27日付け公明新聞より転載)