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平成19年12月31日 |
【主張/薬害肝炎】 |
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主張/薬害肝炎/一律救済の実現を急げ/原告の心情にかなう対応を |
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『公明党の主張実る』 薬害C型肝炎訴訟で原告側が求める「被害者全員の一律救済」が、議員立法で実現する運びになった。原告は、肝炎ウイルスに汚染された血液製剤の投与によりC型肝炎に感染し、肝硬変、肝がんへの不安にさいなまれている被害者である。 現に苦しんでいる人を救うことこそが政治の役割であり、公明党は一貫して「一律救済」を訴えてきた。福田康夫首相(自民党総裁)の、全面解決に向けた政治決断を評価したい。 C型肝炎訴訟は、短期間に多くの被害者が出たエイズやスモンなどの薬害と違い、数十年間使われ続け、しかも当初から肝炎感染の危険性が知られていた血液製剤が問題になった。このため「いつから製造や使用をやめるべきだったか」の判断が難しく、各地裁の認定期間の違いにつながっている。 しかし、少なくとも、青森県で血液製剤「フィブリノゲン」投与患者の集団感染が明らかになった1987年4月時点では、5地裁すべてが製造の違法性や警告義務違反を認めている。汚染された血液を介さない限り、普通の日常生活で感染することはほとんどないC型肝炎が、「薬害」であることは揺るがない事実といえる。 訴訟では、大阪高裁が13日、血液製剤の投与時期によって救済内容を区別する和解骨子案を提示したが、原告は拒否。国は20日、東京地裁判決の認定期間外の被害者には30億円の基金(活動支援金)を活用し、全員を救済する修正案を示した。しかし、これも原告は「一律救済」ではないと拒否し、和解協議は決裂寸前にあった。
原告にとって、何の落ち度もなく同様に被害を受けたのに、投与の時期で区別されることに納得できないのは当然だ。公明党の太田昭宏代表は「『患者の気持ちや心情を政府が十分に受け止めていない』と政府を公然と批判」(24日付 日経)。21日には漆原良夫国対委員長が、自民党の大島理森国対委員長とともに官邸に町村信孝官房長官を訪ね、全員一律救済を求める書面を提出した。こうした与党の“後押し”が首相を決断に踏み切らせたといえよう。 C型肝炎は、ウイルスに感染してもほとんどの場合、自覚症状がないまま7割前後が持続感染状態(キャリア化)に陥り、放置しておくと20〜30年で肝硬変、さらに肝がんに進行しやすいことが知られている。被害者の救済を急がなければならない。自民、公明両党は、野党にも協力を呼び掛けて救済法案を早急にまとめ、来年1月15日の今国会会期末までの成立をめざす。 救済法案は、薬害C型肝炎の被害者に、血液製剤の投与時期にかかわらず、一律で金銭的な補償をすることが柱になる。その際、「国の責任」をどう表記するかが焦点になっている。 『命預かる行政として』 責任にもさまざまあるが、原告は、司法の場で争った「違法か否か」という「法的責任」を被害者全員に認めることを求めているわけではなく、人の命にかかわる行政として、薬害肝炎の発生・拡大を許し、解決が遅れた責任を問い、その責任を国が負う意思を明らかにすることを求めている。 公明党は原告の心情にかなう、「一律救済」を明確にした法案の作成、成立に全力を挙げるとともに、全国に約350万人いるとされるウイルス性肝炎の患者・感染者対策を、さらに推進していく決意だ。 |
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(平成19年12月31日付け公明新聞より転載)
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