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平成19年7月13日 |
【残留孤児 支援策を決定】 |
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残留孤児 支援策を決定/祖国で安心して暮らして/生活費月額最大14・6万円/集団訴訟も終結へ/与党PT |
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自民、公明の与党中国残留邦人支援に関するプロジェクトチーム(PT、野田毅座長=自民党、漆原良夫座長代理=公明党)は9日、衆院第1議員会館で会合を開き、帰国した中国残留孤児への新たな支援策を正式に決定した。公明党から、浜四津敏子代表代行、漆原座長代理(国会対策委員長)、高野ひろし党PT座長(参院議員、参院選予定候補=埼玉選挙区)、松あきら参院議員(参院選予定候補=神奈川選挙区)が出席した。この後一行は、首相官邸を訪れ、安倍晋三首相に新支援策について報告した。 新支援策は、(1)国が年金保険料を全額肩代わりして、現在、月2万2000円しか支払われていない基礎年金を満額(月6万6000円)支給(2)生活保護に代わる特別給付金として最大で月8万円を支給――の2本柱。これにより総額で、最大約14万6000円が給付される。このほか医療、住宅、介護費も補助する。 一方、新支援策は、収入を調査して給付額を差し引く収入認定手続きを採用しているため、帰国孤児側から「自分で働いて得た厚生年金が減額されるのは不公平」「生活保護と何も変わらない」などの反発が出ていた。 そのため、公明党は「帰国した孤児の皆さんに、心から感謝してもらえる支援でなければ意味がない」と強調、再検討を強く求めてきた。最終的に、満額支給の基礎年金を収入認定から除外し、厚生年金や勤労収入の3割を収入認定の対象としないこととした。 また、早期帰国の実現や自立支援の義務を怠ったとして、国に損害賠償を求め各地で提訴している中国残留孤児訴訟の原告のほとんどが猶予されている、訴訟に必要な印紙代(総額約2億5000万円)の支払いを免除する立法措置を講じることも決定。原告側はこれを評価し、同日夕の記者会見で訴訟を取り下げることを表明した。 中国残留孤児訴訟の原告団全国連絡会代表である池田澄江さんは「本当にありがとうございます。これで祖国で安心して生活できる」と満足そうな表情で語った。
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(平成19年7月10日付け公明新聞より転載)
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帰国して本当によかった/中国残留孤児の新支援策に喜び/老後と「尊厳」守る対策/孤児と弁護団 奔走した公明党に感謝/太田代表らが対面 |
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「帰国して本当によかった!」。公明党の中国残留孤児支援に関するプロジェクトチーム(PT)は10日、衆院第2議員会館で会合を開き、日本に永住帰国した中国残留孤児の訴訟原告団の代表約100人と弁護団を迎え、与党の新支援策決定を喜び合うとともに、今後のさらなる支援拡充を約し合った。 「ありがとうございます」「私たちの政策を支持し続けてくれたのは公明党です」と、会場内は孤児たちの歓喜の笑顔、歓声で溢れた。
これには、太田昭宏代表、坂口力副代表、漆原良夫国会対策委員長、斉藤鉄夫政務調査会長らが出席した。 太田代表は、安倍晋三首相に直接会って中国残留孤児に対する新たな支援策を国が決断するよう求めてきたと述べ、「孤児の皆さんに喜んでもらう支援策の実現をめざしてきた」と強調。また、今回まとまった支援策を議員立法として秋の臨時国会で成立させると決意を披歴した。
与党PT座長代理として新支援策の取りまとめに奔走してきた漆原国対委員長は、「残留孤児の老後の安定と人間としての尊厳の確保」を新しい支援策の柱とすることをめざしたと強調し、「今回の支援策によって、見事に“生活保護”からの脱却ができたと確信している」と力説した。 中国残留孤児訴訟の原告団全国連絡会代表の池田澄江さんは「太田代表はじめ公明党は私たちにとって“神様”。本当にありがとうございます。これからも新しい政策ができるよう支援をお願いします」と笑顔で語った。これに呼応し、場内からも一斉に「ありがとうございまーす」と大合唱が沸き起こった。 続いて、弁護団全国連絡会代表の小野寺利孝弁護士は、「公明党は孤児が求めてやまない具体的な政策を実現する活動を担い、成果を収めていただいた。私がその歴史の証人です。本当にありがとうございます」と感謝を述べた。 新支援策は、(1)国が年金保険料を全額肩代わりし、孤児全員に基礎年金(月6万6000円)を満額支給する(2)生活保護に代わる特別給付金(最大で月8万円)を支給する――の2本柱に加え、医療、住宅、介護費も別に補助することなどを決めた。 終了後、原告団のメンバーからは「本当にうれしい。とても感謝している。公明党はいつも大きな力となって支えてくれている」(安藤明美さん)、「公明党は裁判が始まって以来、ずっと孤児のことを支持してくれた。本当に感謝している」(村上秀子さん)などの喜びの声が寄せられた。 これに先立ち、中国残留孤児の約100人は首相官邸を訪れ安倍首相と面会。安倍首相は「日本に帰ってきて本当によかった、祖国は温かいと思っていただけるよう、支援策をできる限り早く実行していくことに全力を尽くす」と約束した。=3面に関連記事 『新支援策のポイント』 ・基礎年金(月6万6000円)を満額支給 ・生活保護に代わる特別給付金(月最大8万円)を支給 ・医療、住宅、介護費も別に補助 ・勤労所得などの3割は収入認定から除外
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(平成19年7月11日付け公明新聞より転載)
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中国残留孤児の“尊厳”守る/与党の新たな支援策に喜びの声 |
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中国残留孤児に対する支援が、与党の努力によってこれまでの生活保護から新たな支援に移ることが決まり、「日本人としての尊厳が守られる」と喜びの声が上がっている。残留孤児が国に対して起こした訴訟も取り下げられることになり、支援問題は全面解決する。新たな支援策をまとめた与党中国残留邦人支援プロジェクトチームの漆原良夫・座長代理(公明党国会対策委員長)に、問題の背景や支援策の理念、内容を語ってもらった。 『中国残留孤児とは』 終戦時の混乱の中で、多くの人が満州(現中国東北部)で親や兄弟と死別、または生き別れるなどして中国に取り残された。1981年から、日本政府が孤児と認定した人が来日して家族を捜す訪日調査が始まり、今年4月末までに2514人が日本に永住帰国している。中国人の妻になるなどした13歳以上の残留婦人とは区別されている。 孤児たちの日本での生活は苦しい。その多くは帰国時に既に中高年になっており、日本語の習得も、就職して自立した生活を営むことも困難な状況にある。厚生労働省の調査によれば、日本語の理解度は、「片言のあいさつ程度」「まったくできない」を合わせると47・1%に上る。終戦時の年齢が低い人ほど理解度が低かった。 また、就労状況は、就労経験のない人が44・2%に上り、孤児本人、配偶者ともに就労していない世帯は8割を超える。「高齢のため」「病気やけがのため」がその主な理由だが、それだけに孤児世帯の生活保護受給率は61・4%と高い。世帯の64・6%が帰国後の生活状況を「苦しい」「やや苦しい」と答えている。 こうした状況を踏まえ、孤児たちは長年にわたり老後の生活保障を求めてきた。公明党は「中国残留孤児支援に関するプロジェクトチーム」が中心となり、支援の拡充に取り組んできた。
『漆原良夫・与党PT座長代理(公明党)に聞く』 『自助努力の結果を尊重/臨時国会で立法措置めざす』 今年1月、安倍首相が中国残留孤児の皆さんと会い、「生活保護でなく、孤児の皆さんが日本に帰ってきて良かったと思える新たな支援制度をつくる」と述べた。それを受けて与党で議論し、「老後の安定」と「日本人としての尊厳の確保」の二つを新たな支援策の柱とすることを決めた。 その後、4月に政府案骨子が示された。基礎年金の満額支給(6万6000円)と生活保護ではない新たな給付金(8万円)の支給が盛り込まれていたが、生活保護の方式を採用したため収入認定をすることになっていた。要するに孤児が自助努力で得た収入があれば、新たな給付金が減額される仕組みだった。しかも、自助努力の結果、厚生年金を得ているとその分も差し引かれるという内容だった。一方で政府は孤児に働くよう勧めているため、これでは生活の安定につながらないとの批判が起きた。そもそも収入があると支給額が減額されるのは、これまで孤児の皆さんに抵抗感が強かった生活保護と一緒であり、尊厳の確保にならない。 しかし収入認定を外すことは制度的に難しい。そこで、新たな支援と生活保護とは違うと実感してもらえるだけの手立てをとろうと、与党内でも公明党が強く主張した。 その結果、基礎年金は収入認定しない。自助努力で得た厚生年金と勤労収入はその3割を収入認定から外すことを政府に迫り認めさせた。さらに子どもなど同居家族の収入も収入に認定しない、孤児に就労を勧めないことも認めさせた。また、孤児が死亡しても配偶者にこの制度が引き継がれることにした。これで明らかに生活保護とは違う制度だと実感できるようになり、孤児の皆さんからも喜んでもらえる内容になった。 もう一つ難題があった。孤児の皆さんは国を相手取って裁判を起こしている。新たな支援策に納得し、訴訟を取り下げようにも、多くの人が経済的理由で裁判所に訴訟費用を立て替えてもらっているため、訴訟取り下げと同時にその返還を迫られる。合計2億5000万円にもなる訴訟費用をとても払えない。そこで、新たな立法によって支払いを免除する措置をとることにした。 新たな支援策は法の枠を超える孤児本位の制度であり、臨時国会でぜひとも成立させたい。 (談) 『「新たな支援策」の骨子』 ◎基礎年金を満額支給できるようにする。 ◎そのために、年金に加入できなかった期間の追納を認め、それに必要な額は国が負担する。 ◎基礎年金を満額支給する生活支援に加え、生活保護とは別の法律に基づく給付制度をつくる。その際、生活費だけでなく、住宅費用、医療費、介護費用なども世帯状況に応じて対応する。具体的には基礎年金制度による対応を補完する生活支援を行う。 ◎「補完する生活支援」は、収入認定に当たり、基礎年金満額(6万6000円)を除外する。厚生年金や勤労収入などその他の収入については、その3割を除外する。 ◎「補完する生活支援」の運用上、収入申告書の提出は原則年1回とし、残留孤児1世には就労を勧奨しない。生計を別にする2、3世に対しては原則、扶養の照会を行わない。 ◎「補完する生活支援」のための給付金を受けている孤児が死亡した場合、配偶者があれば引き続き支給する。 ◎年金および「補完する生活支援」のための給付金を原資として預貯金は保有できる。資産価値500万円未満の不動産は保有できる。 『中国残留孤児をめぐる歴史』 1936年8月 満州国開拓移民の国策決定 45年8月 ソ連対日参戦。終戦。多くの日本人の子どもが取り残され残留孤児となる 58年7月 集団引き揚げが打ち切り 72年9月 日中国交回復 81年3月 日本政府が孤児と認定した人が来日して家族を捜す訪日調査が始まる。2007年までに2514人が帰国する。 2002年12月 東京地裁で孤児637人が初の国家賠償請求を提訴 05年7月 大阪地裁で初の判決。孤児側の請求を棄却 06年12月 神戸地裁で孤児勝訴の判決 07年1月 東京地裁が孤児側の請求を棄却。 安倍首相が孤児と面会し、「新たな対応」を約束 07年6月 厚生労働省の有識者会議が支援策を盛り込んだ報告書まとめる |
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(平成19年7月11日付け公明新聞より転載)
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