平成19年6月2日
【年金時効撤廃し全額を補償】
 
年金特例法案、社保庁改革法案 未明に衆院通過へ/時効撤廃し全額を補償/社保庁を解体、出直し/年金への国民の信頼回復

 
 『不信任決議案など乱発/野党、採決引き延ばし』
 国会は31日、年金記録問題に対応する年金時効特例法案と、社会保険庁を解体し年金業務を非公務員型の公法人に引き継ぐ政府提出の社会保険庁改革関連法案の衆院本会議採決をめぐり、野党は柳沢伯夫厚生労働相不信任決議案や逢沢一郎衆院議院運営委員長解任決議案などをいたずらに乱発し、採決の引き延ばしを図った。
 不信任決議案や解任決議案が提出されると、その処理が優先されるため、両法案の採決は深夜にずれ込んだ。
 年金保険料の納付記録約5000万件が該当者不明になっている問題を受け、自民、公明の与党両党が提出した年金時効特例法案は、年金の支給漏れが判明した場合に、年金支払いの時効(5年)を撤廃。年金を受け取り始めた年までさかのぼって未払い分すべてを受給者に支給する。また、年金の個人情報を正確にするための徹底調査も社保庁に義務付けている。
 社保庁改革法案は、2010年1月までに同庁を廃止・解体6分割し、非公務員型の公法人「日本年金機構」に年金業務を引き継ぐことが柱。公的年金にかかる財政責任・管理責任は引き続き国が担うこととしているが、公法人の業務は可能な限り民間委託し、保険料の悪質滞納者の強制徴収は国税庁に委託する。
 自民、公明の与党両党は、両法案を同日午後の衆院本会議で速やかに成立させようとしたが、民主、社民、国民新の野党3党は、両法案の本会議採決を遅らせるため、逢沢衆院議運委員長解任決議案や、桜田義孝衆院厚生労働委員長解任決議案、柳沢厚労相不信任決議議案を立て続けに提出し、なりふり構わぬ議事の“引き延ばし戦術”を展開した。
 これに対して、自民、公明の与党両党は野党提出の決議案を粛々と否決した上で、両法案を採決、衆院通過させ、参院に送付する方針。
 本会議に先立つ党代議士会で、漆原良夫国会対策委員長は、「私たちは、一生懸命働き、まじめに(保険料を)払ってきた年金が全額給付されない、未払いがあったとしても、過去5年間を超える分は時効が適用されて支給されないなど理不尽なことがあってはならない、と年金時効特例法案をつくった」と強調。「年金受給者は高齢で、緊急を要する。一日も早く法案を成立させ、救済策を具体化しなければならない。この問題を“政争の具”にしてはならない」とし、法案成立を遅らせる野党の姿勢を、「全く無責任と言わざるを得ない」と批判した。
 その上で、「そもそも、1997年の基礎年金番号の統合段階で十分な準備や対応ができていれば、これほどの問題には発展していない。その前年から準備を進めてきた当時の厚生相、菅直人・民主党代表代行の責任は決して免れるものではない」と述べた。

(平成19年6月1日付け公明新聞より転載)