平成17年10月15日
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法務委員会にて質問する漆原良夫 |
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共謀罪の明確化を主張!
14日、衆議院法務委員会にて「共謀罪」の新設を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案についての質問を行いました。
共謀罪については、国民に誠実な説明をする必要があります。その上で、
@共謀罪新設の理由、
A共謀罪の対象は組織的犯罪集団の行為に限定、
B共謀罪の成立には具体性、現実性を持った犯罪実行の意志の連絡が必要、
の3点を明確にし、国民の不安解消に向けた努力をすべきと主張しました。
これに対して、三ツ林隆志・法務大臣政務官は、ホームページ上で説明を行ってきており、今後とも広報を充実していきたいと答えました。
法務委員会質問(H17.10.14)
公明党衆議院議員
漆 原 良 夫
<組織的犯罪処罰法>
1.6条の2 第1項は、組織的な犯罪の共謀の構成要件として、「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの」と規定している。
しかし、同法2条は、「団体」の定義として「団体とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう)により反復して行われるものをいう」と規定している。即ち「団体」の概念の中に、既に「組織」性の要件も組み込まれているものと考えられる。
従って、6条の2 第1項の構成要件としては「団体の活動として行われるもの」で十分であり「当該行為を実行するための組織により」の部分は重複であり、不要ではないか。
この点について7月12日の当委員会における局長の答弁も「法案の共謀罪は、団体の活動として行われ、かつ、犯罪行為を実行するための組織により行われる犯罪を実行することを共謀したことを要件としております」と述べられている。
「犯罪行為を実行するための組織により行われるもの」を要件とする理由は何か。
2.「団体の活動として」の部分及び「当該行為を実行するための組織により」との部分について、解釈を求める。
3.私は先回の質疑の中で「市民団体・会社・労働組合の正当な団体の幹部が、その組織として特定犯罪を実行することを決定したという場合は共謀罪が成立するのかどうか」と質問をした。これに対する局長の答弁は「正当な共同目的のために活動している市民団体や会社等については、仮にたまたまその団体の幹部がその団体の意思決定として特定の犯罪を実行することを共謀したとしても、組織的な犯罪の共謀罪は成立しないと考えております。……言い換えれば、団体が有している共同の目的が犯罪行為を行うことと相容れないような正当な団体については、仮に、たまたまその団体の幹部が相談して犯罪行為を行うことを決定したとしても、共同の目的を有する団体として意思決定したとは言えないため、「団体の活動として」という要件を満たさず、共謀罪は成立しないと考えております」と述べられている。
しかし、その団体の本来の目的はどうあれ、現に団体全体の意思として、詐欺や恐喝、威力業務妨害、強要等の具体的な犯罪行為を
組織として実行することを共謀した場合には、法文上、構成要件に該当するのではないか。
4.会社の利益は企るためにする贈賄、株価操作、粉飾決算、最低入札価格を聞き出す行為など、必ずしも会社の共同の目的と相容れないとは言えない事案も考えられる。
他社との競争に負けないため、会社ぐるみで実行部隊を作り、各々の役割分担を決めるなどの共謀をした場合は、構成要件に該当するのではないか。
5.本条でいう「団体の活動として」とは、犯罪行為の実行を共同目的とした場合に限定されると理解してよいか。
6.ところで、当初は正当な団体として発足したが、途中から組織的犯罪集団と認定される場合があると思う。
例えば、当初は仲間の5〜6人で建設会社を設立した。ところがその後不況になり、建設の仕事が全く無くなった。そこでみんなで相談してリフォーム詐欺をやることにして、各々の任務の分担や具体的実行について共謀した。この場合共謀罪は成立するか。
7.当初からリフォーム詐欺を行うために団体を結成した場合は、組織的犯罪集団の認定は、ある意味では認定しやすいが、途中から組織的犯罪集団に変質したことの認定は非常に難しいと思われる。
正当な団体として発足した団体を途中から組織的犯罪集団と認定するためには、どのような要件が必要となるのか。
8.刑事局長は、先の答弁で「正当な共同目的のために活動している市民団体や会社などについては、仮に、たまたまその団体の幹部がその団体の意思決定として特定の犯罪を実行する ことを共謀したとしても、組織的な犯罪の共謀罪は成立しない」と述べられている。
しかし、正当な団体が途中から組織的犯罪集団に変質する場合があるとすれば「仮にたまたまその団体の幹部がその団体の意思決定として特定の犯罪を実行することを共謀した」場合、その団体の変質の有無を判断するために捜査の対象になると思われるかどうか。
9.仮に「共謀罪」が成立しなくとも、捜査機関が捜査権を乱用して恣意的な捜査を行うようになれば、市民団体・会社・労働組合といった団体は大きな打撃を受けることになるが、そのような事態にならないという保証はあるか。
<国際性>
1.共謀罪の新設にあたって、国際性を要件としない理由として、局長は@条約上の制約 A実際上の問題を挙げている。
しかし、本条約は、そもそもその名称が示すとおり「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」である。
同条約第1条には「目的」として「この条約の目的は一層効果的に国際的な組織犯罪を防止し、及びこれと戦うための協力を促進することにある」としている。
この条約が何故、国際性を要件とすることを禁止しているのか。
2.実際上の問題として「例えば暴力団による国内での組織的な殺傷事犯の共謀が行われた場合について、そのようなものは 国際性の要件を満たさないことから、これを共謀罪として処罰できなくなってしまいますが、そのようなことになるのは不都合であると考えられます」と述べておられる。
私は何も不都合ではないと考えている。
先に述べたとおり、「共謀罪」は現刑法では例外的類型である。そのような例外的犯罪類型である「共謀」行為をすべて処罰の対象としたいと考える立場からは「不都合」と思うかもしれないが、犯罪の成立には、客観的な実行行為が必要であり、それが原則であると考える私の立場からすれば、何の不都合もないと考えるが、どうか。
3.組織的犯罪処罰法の第一条(目的)は、今回の改正案では 「国際的な犯罪の防止に関する国際連合条約を実施するため」と言う文言を入れている。
条約上の制限があって、国際性を要件とできないことは理解する。
しかし、条約の目的、組織的犯罪処罰法の目的が「国際的な組織犯罪の防止」ということであれば、共謀罪の運用については、できるだけ法の趣旨・目的に添うように運用されるべきだと考えるが、どうか。
<追加>
・共謀罪に関する広報活動について、法務省の取り組みを問う。(三林政務官)
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