平成17年10月6日

靖国参拝の違憲判断(大阪高裁)を受けて、国立追悼施設の建設と政府の言動に自重を求める!!

  法務委員会にて質問する漆原良夫
 
5日の衆議院法務委員会で、漆原良夫は小泉純一郎首相の靖国神社参拝に関連し、「憲法上も外交上も全く問題のない施設で、戦没者に追悼の誠を捧げるとともに全世界に向かって日本国が不戦の誓いを高らかに宣言する施設を造るべきだ」と訴え、無宗教の国立追悼施設の建設を強く主張した。首相の靖国神社参拝を違憲と判断した大阪高裁判決に触れた上で、「靖国参拝問題に関する政府の言動には謙虚さと自重が求められてしかるべき」と強調。公明党が違憲の疑いのある首相の靖国神社参拝に対し、重ねて自粛を求めてきたことを指摘し、政府の見解を求めた。南野知恵子法相は「政府は『追悼・平和祈念のための記念碑等施設のあり方を考える懇談会の意見を踏まえ検討する』としておりその検討を守る」と答えました。(公明新聞10月6日から抜粋)



漆原良夫の南野法務大臣に対する質問は次のとおりです。


<靖国参拝訴訟>
1.小泉純一郎首相の靖国神社参拝の合憲性の有無が問われていた訴訟の控訴審で、大阪高裁は9月30日参拝を内閣総理大臣としての職務行為と認定した上、政教分離の原則に違反し、憲法が禁止する国による宗教活動に当たる、として違憲判断を示した。
 即ち、総理の靖国神社参拝は、国家賠償法1条1項にいう、総理大臣の「職務を行うについて」なされたものであり、かつその参拝は、憲法第20条3項の禁止する「宗教的活動」に該当する、と判断をした。
 ところで南野法務大臣は、大臣に御就任以来、靖国神社に法務大臣として参拝されたことはないと承知しておりますが、その理由を尋ねます。

2.この判決に対して、各紙の社説は次のとおり。
   <朝 日>
   「参拝をやめる潮時だ」との見出しの下、
   「首相の参拝は外交問題であるだけではなく、憲法をめぐる  
   重要な問題である。司法の判断は、高裁の段階で真っ二つに
   割れ、首相の参拝が日本の社会に深い亀裂をもたらしている
   ことを示した…司法の判断がこれだけ分かれた以上、参拝を
   強行すべきではない」

   <毎 日>
   「違憲判断は司法府の警告だ」の見出しの下、
   「小泉首相をはじめとする政府関係者は判決を司法府からの 
   警告として重く受けとめるべきは言うまでもない…総理大臣
   に対して憲法を遵守した言動を求める司法府の厳しい姿勢の
   表れ、と受け止めたい。」

   <読 売>
   「きわめて疑問の多い違憲判断」の見出しの下、
   「福岡地裁判決は傍論の形で違憲判断を示し、請求を棄却し 
   たため、国は控訴できなかった。…今回の判決も、結論とは
   関係のない“実質的傍論”として違憲判断がなされたが、   
   首をかしげざるを得ない」

3.そこで南野法務大臣に、この大阪高裁の「違憲判断」をどのように受け止められたか、所見を伺います。

4.憲法203項は「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」(政教分離の原則)と規定している。政教分離の原則について、大臣の所見を伺います。
(国家の非宗教性ないし宗教的中立性)

5.判決は、総理が国内外の強い批判があるにもかかわらず、あえて靖国参拝を実行し継続していることや、総理が靖国神社以外の宗教団体、神社、仏閣等に公式参拝したことを認めるに足りる証拠がない、などと指摘した上で、本件参拝により「被控訴人国が宗教団体である被控訴人靖国神社との間にのみ 意識的に特別の関り合いをもったものというべきであって、これが一般人に対して、被控訴人国が宗教団体である被控訴人靖国神社を特別に支援しており、他の宗教団体とは異なり特別のものであるとの印象を与え、特定の宗教への関心を呼び起こすものといわざるを得ず、その効果が特定の宗教に対する助長、促進になると認められ、これによってもたらされる被控訴人国と被控訴人靖国神社との関り合いが、我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものというべきである。
 従って、本件・各参拝は、憲法203項の禁止する宗教的活動に当たると認められる」と判示している。
 この判断に対する大臣の所見を伺います。

6.国の統治機構は、立法・行政・司法の三権がある。
 司法に、いわゆる違憲立法審査権が付与された理由について、大臣の所見を求めます。

7.総理の靖国参拝が違憲か合憲かは、最終的には最高裁判所の判断を待つしかない。しかし、東京高裁は合憲、大阪高裁は違憲と、その判断が真っ二つに割れたことの意味は大きい。
 報道によれば、細田官房長官は記者会見で「判決は傍論というか、主たる判決ではない」と述べたとのことである。
 しかしチェックアンドバランスの三権分立の精神、及び閣僚等の憲法遵守義務を定めた憲法99条の精神から考えて、靖国参拝問題に関する政府の言動には謙虚さと自重が求められてしかるべきだと考えるが、大臣の所見を求めます。

8.私共は、もともと総理の靖国参拝は憲法上の疑義があり、差し控えるべきであるという考えであり、そのことは、その都度総理に申し上げ、党としての見解も出してきた。
 総理は靖国神社参拝について、次のとおり述べておられる(H13.6.20 野党四党首との党首討論)。
 「靖国神社参拝は、心ならずも戦争に行って亡くなった人の犠牲の上に今日の平和と繁栄があるという気持ちを込めて、戦没者に敬意と感謝を表すとともに、政治家として二度と戦争を起こしてはならないとの誓いを込めてする」と述べられている。
 戦没者の追悼と不戦の誓いは、我々も全く同じである。
 私自身も当選以来、8月15日には毎年武道館で行われる「全国戦没者追悼式」に参加して、戦没者の追悼と不戦の誓いをしております。
 この思いは大臣も同じであろうと思われますが、大臣はどのような方法で戦没者の追悼と不戦の誓いをしておられるか 伺います。

9.戦没者の追悼と不戦の誓いは、靖国神社に参拝しなければ実施できないというものではない。私達は、そのために無宗教の国立追悼施設の建設を提案している。
 憲法上も外交上も全く問題のない施設で、それこそ総理を 始めとする全閣僚が出席し、戦没者に追悼の誠を捧げるとともに、全世界に向かって日本国が不戦の誓いを高らかに宣言する、そんな施設を作るべきだと思いますが、大臣の所見を伺います。