令和7年3月3日
【令和7年第2弾
 
「越後屋」と呼ばれた元公明幹部が語る国会改革「今がチャンス」

 

皆さん、こんにちは! 
昨日の東京は、春を思わせる気温22度、今日は今季初の大寒波襲来で真冬並みの気温2度です。しかし、春は確実にもうそこまで来ています。どうか、風邪などひかれませんようご自愛下さい。

朝日新聞の取材を受けました。2月18日18時54分、冒頭の見出しで掲載されましたので紹介いたします。

           記

少数与党のいま、国会のあり方を見直す機運が高まっている。議員同士の活発な議論は、実現するだろうか。与党で長らく国会対策を担い、10年前の国会改革で合意した1人である公明党の漆原良夫氏(80)に、今の国会をどう見るか、なぜ国会改革が進まないのかを聞いた。

―自民党の大島理森元国対委員長と漆原さんとのコンビは、「悪代官と越後屋」とも呼ばれました。与党として長らく国対を担ってきた立場として、この少数与党国会をどう見ていますか 
私が言うのもおかしな話ですが、自公(与党)が困っている今こそ、国会改革をするチャンスだと思っています。こういうときでないと、なかなか変えられませんから。

―どういうことでしょう。
私も野党時代の国対委員長を経験して痛感していますが、政治の世界はやっぱり「数の論理」です。今みたいに少数与党として追い込まれ、必要性がうまれなければ、変えようという動きにはならないのが現実です。

―予算委員会では(野党の提案により)「省庁別審査」が初めて開催されました。どう評価していますか。
省庁別審査はまさに少数与党の効果だと思います。与党が安定している時なら、野党側の提案を呑まな(かった)でしょう。省庁別審査は、一歩進んだやり方だと思います。今のうちに(審査のシステムを)変えておけば、この先に与野党の勢力が変化しても、国会の仕組みとして残っていきます。

―予算案や法案を与党で事前に決める「事前審査制」は、必要があると考えていますか。
(「事前審査制」とは、内閣が国会に提出する法案は、国会提出前即ち事前に与党の審査を経て了解を得なければならないという制度です。)与党が内閣を支える議院内閣制の下では必要だと思います。
事前審査を経た法案については、与党は政府の法案を通す責務を負っています。(しかし、少数与党の下では)野党がノーと言えば、法案は、1本も通らなくなってしまったのです。将来、与野党対立が予想される法案については、与野党が、事前に協議を開始する)意味が(ここにあるのです)。「103万円の壁」、「教育の無償化」問題に関して、与野党間で真剣な協議がなされたことは、ご存じの通りです。
問題なのは、国会での議論が透明性を欠いていて、国民に見えないという事です。

―どういうことでしょう。
去年の補正予算の成立をめぐっては、与党が野党と個別で国会外で協議する過程がありましたよね。野党の主張に耳をかたむけたという点ではプラスです。でも、中身について国会で(オープンな)議論はされず、経緯がわからなかった。これでは国民の期待する熟議にはかなっていない、と思います。野党を事前審査制に引き込み、単なる数合わせをしたと見なされれば、政治は国民に見放されるでしょう。

―国会を変えるための提案は在りますか。
国会での表の議論を活発にし、もっと経過を公開するべきです。
そのためにも、大臣や政府側の逆質問権、反論権を認める運用をしてはどうでしょうか。国会を政策の優劣を論じ(あう双方向性の)場にして、国民に判断してもらう。これが、熟議と公開のヒントだと思います。国会が公開された議論の場になれば、経過を見た国民の意識も高まります。世論が醸成されて、おのずからどこに合意するべきかの流れが出来ていくのでは、と思います。

―それでもなお、合意形成が出来ない場合もあるかもしれません。
その時は合意形成せず、次の選挙で国民に判断してもらうしかない。与党は「これが国民のためになる」という腹で、与党の責任で押し切る。野党側も反対する理由を主張する。それで選挙で国民に判断してもらうしかありません。それが民主主義です。でも今は、国会での議論が深まっていなくて、経過が国民にわからない。それなのに国民に判断しろ、と求められていますよね。それでは駄目だと思うんです。

―10年前の与野党合意でも、月に1回の党首討論開催を提案していました。なぜ増えないのでしょう。
全体の時間が通常は45分と短いのが一つの原因でしょう。月ごとに党を変えればいい。毎月1回党首討論をやるならば、1月は立憲民主党、2月は国民民主党・・・という具合です。通常国会150日間あるんですから。

―国会改革は成し遂げられるでしょうか。
直近の衆院選挙で自公は大きく議席を減らしました。言い換えると熟議の国会は、国民が求めたことだとも思うのです。熟議をしないと政権維持が出来ないところまで追い込まれている。この民意をおろそかにすれば、与党は本当に政権を失うことになるだろう、と思っています。

註 ( )の部分は、後日、加筆修文しました。


令和7年3月3日

元公明党国会対策委員長 漆原 良夫