令和4年11月18日
【第11弾
 
不朽の名作“冬柴小冊子”

 
― 冬柴鐵三、魂の叫び!―

〇 表紙に「政教分離の真の意味について ―衆議院予算委員会の質疑を通じて― 衆議院議員冬柴鐵三」と書かれた小冊子が、私の手元にあります。
私と、この小冊子との出会いは、1999年10月の自公連立まで遡ります。連立政権ですから、公明党からも大臣が入閣します。しかし「公明党と創価学会は政教一致である」と主張する「四月会」は、全体的な勢力は衰えたとはいえ中心的なメンバーは、まだ活発な活動を展開していました。予算委員会などで、初入閣した公明党出身大臣にどんな質問を仕掛けてくるか、緊張の日々でした。私は、弁護士出身ですから、大臣答弁の資料として政教分離に関する「想定問答集」を作成する仕事を担当していました。
大変重い仕事と悪戦苦闘をしていた折、冬柴さんから、「ご参考に」と頂いたのがこの小冊子だったのです。

〇 この小冊子は、今から28年前、1994年10月12日衆議院予算委員会での冬柴鐵三議員と大出内閣法制局長官との質疑応答を再録したものです。
1994年、村山内閣発足当時、公明党には逆風の風が吹いていました。村山内閣は、「四月会内閣」と言われ「四月会」は、「公明党と創価学会は政教一致である」とのキャンペーンを張って攻撃していました。初入閣を果たしたある閣僚がインタビューに答えてこう言っています。「これまでは公明党と創価学会に対しては政府も手加減していたが、これからは違います。政教分離の問題は、あくまでも追求します」、「政府の立場としては、大蔵大臣の武村さんに学会の税務問題を追及してもらう。」「また、大石寺との闘争については、警察及び法務省に協力を仰ぎ、宗教法人としての適格性については、与謝野文部大臣が取り組みます」と。これを受けて新聞は「創価学会潰し、宗教法人税務問題、与党大臣が総攻撃」と大見出して報じていました。
当時私は、一弁護士でしたが、憲法第20条の信教の自由の重みは十分に理解をしていました。「内閣を挙げて創価学会を潰しにかかる」、これこそまさに宗教弾圧の極みではありませんか。なんとしても、村山・四月会内閣から信教の自由を守らなければならない!そんな思いで切歯扼腕していました。
 
〇 そんな時です。1994年10月12日、冬柴さんが衆議院予算委員会で質問することになりました。テーマは、「政教分離」です。
この衆議院予算委員会は、村山内閣総理大臣以下全閣僚出席のもとに開かれます。憲法問題ですから、答弁者は内閣法制局長官です。法律家出身の冬柴鐵三議員と憲法の番人・内閣法制局長官の「党の命運と政治家の良心」を掛けた「魂と魂」の真剣勝負が始まりました。
詳細は、時事放弾第10弾・今、再び問う「政治と宗教」記載の通りですが、この問答で憲法上次の二つの解釈が明確になりました 。

1、政教分離の規定は、国家権力の宗教介入を排除したものであって、宗教団体の政治活動を排除したものではない。

2、宗教団体には、選挙運動を含め政治活動の自由が憲法で保障されている。
「公明党と創価学会は政教一致である」との四月会の主張は、衆議院予算委員会で、冬柴質問と内閣法制局長官の答弁によって、完全に論破されました。憲法第20条の信教の自由が守られた瞬間です。冬柴質問に、拍手喝采です!こんな痛快なことはありません。

〇 しかし、ここで終わらないのが、公明党冬柴鐵三の真骨頂ですね。最後にトドメを刺しに行くんです。
冬柴 : 憲法99条は、国務大臣は「この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と明記されております。その観点からも、今統一見解として内閣法制局長官が厳格に示された解釈というものを守り抜くご決意があるのかどうか、順次伺いたい。先ず、大蔵大臣。

武村国務大臣 : ご指摘の点に尽きましては、憲法順守に変わりはありません。

冬柴 : じゃ、副総理・外務大臣。

河野国務大臣 : 法律の下に厳密に対処すべきものと思います。

冬柴 : 総理から今の私のやり取りをお聞きになった感想と、重要閣僚がこのような発言をされたという大変な問題、ここにいらっしゃいますけれども、こういうことの報道がなされたということは国民知っているわけでありますから、どう対処されるのか、その決意も伺っておきたいと思います。

村山内閣総理大臣 : その報道の事実は確認しておりませんので、コメントは差し控えたいと思うんです。ただ、今あなたと法制局長官のやり取りを聞いておりまして、いかに信教の自由というものが大事であるかということは痛切に感じました。憲法第20条の信教の自由はあくまでも保障するとの原則に立ってこれからの政局に取り組んでいきたいというふうに思います。

〇 胸すく思いがしますね!

〇 与野党の枠を超え、憲法の精神に忠実に解釈を展開する冬柴さんと大出内閣法制局長官。二人のやり取りに政治家としてのスケールの大きさを感じました。また、単身敵陣に乗り込んで、200%以上の成果を上げられた冬柴鐵三先輩。その胆力に敬服いたします。
統一教会問題で国会が揺れ動く中、改めて“冬柴小冊子”を読んでみました。28年を経過した今も、少しも色褪せることなく「政教分離の真の意味」が余すところなく説かれています。
公明党も若い人が多くなりました。冬柴先生のご業績と“冬柴小冊子”の内容をしっかりと継承してまいります。
「いや〜。そんなに褒められたら恥ずかしいわ!でも、うるさん、褒めてくれてありがと、ありがと」。
冬柴さんが、笑っておられます。

以上

2022年11月18日

公明党元衆議院議員
弁護士 漆原 良夫