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近年バブル経済の崩壊や、長期化する不況、リストラ等々の影響で、個人破産が急増しています。
個人債務者が自己破産をせずに、債務を返済しながら生活再建できるようにするために「民事再生法の改正」が成立しました。
(平成12年11月28日)
1.住宅ローンの弁済期間を最長10年間延長可能。
2.小規模個人債務者(※1)の負債は、負債総額の20%の弁済で免責(※2)が可能。
3.サラリーマンの負債は、可処分所得(※3)の2年分以上を3年間で返済すれば残額は免責が可能。
※1:小規模個人債務者⇒
サラリーマン以外で継続的な収入の見込みがある個人債務者のこと。例えば、花屋さん、八百屋さん、農家など、幅広い方々が対象となります。
※2:免責⇒
債務の弁済責任を免除すること。
※3:可処分所得⇒
給与から税金・生活費を差し引いた残りの所得。
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【1.住宅資金貸付債権(住宅ローン)に関する特例】
近年バブル経済の崩壊により、住宅ローンを抱えた方の個人破産の件数が急増しています。しかし、現在の破産法では、住宅ローンを抱えた方が破産をした場合には、持家住宅を処分しなければならないため、利用しにくい制度となっていました。
今回の改正法は、住宅ローンを抱えて経済的破綻に瀕した個人債務者が、できる限り住宅を手放さずに再生を図ることができるようにするため、住宅ローン債権の弁済繰り延べを可能としたものです。
弁済繰り延べ方法としては、次の3種類があります。
@既に弁済期が到来している住宅ローンの元本・利息・損害金の全額は、本来ならば一括で支払わなければならないものですが、3年〜5年の間に分割して支払うことが可能になります。
但し、この場合は、まだ弁済期が到来していない債務については、当初の契約どおりに支払っていくことになります。
A上記@の弁済計画を実行できる見込みがない場合には、最長10年(規定の最終弁済期から10年)、最長70歳(変更後の最後の弁済期における債務者の年齢)まで、住宅ローンの支払期限を延期することが可能となります。
B上記Aの弁済計画を実行できる見込みがない場合には、更に、当初の3年〜5年は元本の支払い額を少なくすることが可能になります。これにより、住宅ローン債務者がサラ金などから多額の借金をしていた場合に、住宅ローン再生手続きと合わせて、小規模個人再生(後述)や給与所得者等再生(後述)の手続を行う際には、住宅ローンの元本の支払額を少なくして、その分をサラ金などの弁済に充てられるようになります。
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多額の負債を抱え経済的破綻に瀕した個人債務者が、破産をしないで再生することができるようにするため、小規模個人再生と、給与所得者再生の2種類の簡易で迅速な手続を設けました。
この制度を利用することにより、破産をせずに再生可能となりますので、破産をした場合に「破産者」とのレッテルを貼られ、社会的不利益を被ることが回避できます。
【2.小規模個人債務者(前述)に関する特例】
小規模個人再生は、継続的な収入の見込みがある個人債務者で、無担保再生債権の総額が、3000万円を超えないものを対象としています。(3000万円の中には住宅ローンの債権や抵当権が設定されている債権は含まれません)
最低限の弁済額として、負債総額の20%以上(但し、最低額100万円以上、最高額300万円以下)を弁済するという再生計画が認可(★1)された場合には、残額について免責されることになります。
【3.給与所得者等に関する特例】
給与所得者等再生は、サラリーマンや定期的な収入を得る見込みのある人など、将来の収入を確実に把握できる方を対象としています。
可処分所得(前述)の2年分以上の金額を原則3年で弁済するという再生計画が認可(※1)された場合には、残額については免責を受けることができます。
※1:再生計画の認可⇒
再生計画の認可は、裁判所が行います。 |
この法律は、公布の日から6ヶ月を超えない範囲内で、政令で定める日から施行されます。
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