「揮発油税」Q&A

Q1 ガソリン税の暫定税率をなぜ維持すべきなのか。

 

1.     近年、ガソリン価格が高騰していることから、ガソリン税の暫定税率による上乗せ分(25.1円)を廃止して税率を下げるべきとの御意見があることは承知しています。
 しかしながら、他方で、ガソリン税が使われることとなる道路の状況を見てみると、例えば 

@   お子様が安全・安心に歩ける通学路の歩道整備
 →事故の危険性の高い通学路でも、歩道がない箇所は約4.4kmも存在。

A   交通の大きな障害となっている『開かずの踏切』の除却
 1時間40分以上遮断している『開かずの踏切』は全国600箇所。

B   救急医療、災害発生時など緊急時の生命を守るための 生活幹線道路の整備
 →救急医療施設が減少している中、医療施設へのアクセス確保が急務。
 →生活幹線道路でも救急車等がスムーズに走行できない箇所など移動支障
  区間が約5000
区間(約13000km)存在。

など、地方・都市を問わず、依然として様々な高いニーズがあるのが現状です。

2.     道路整備とは、本来、今の時代に生きる私達だけでなく、今後長きにわたり、私達の子供や孫達までが、生活の安定や経済の発展を途切れることなく享受するための重要な資産を作ることでもあるのです。このため、このような「国家百年の計」とも言うべき道路整備の問題と、非情に変動が激しい原油価格の高騰に対応するための問題とは、区別して論ずるべきと考えています。

3.       また、現在、道路特定財源を使って行っている道路整備  

の中身ですが、高速道路などを新しくつくることだけでは なく、幅広く様々な事業を行っているのが実態です。
例えば、

@ アメリカで大変衝撃を与えた橋の崩落事故などを防ぐた

   めの、古くなった道路や端の点検・メンテナンス

A   踏切をなくすための鉄道線路の高架化や、駅の両側を結ぶ自由通路の整備などの、鉄道施設の改良

B   環境対策の一環として、自動車の通行をスムーズにしてCO2の排出量を減らすための渋滞対策(交差点改良、LRT(次世代型路面電車システム)の導入等)

    なども、道路特定財源を活用して進めている取り組みです。

 

4.      道路整備は、その性質上、着手してから完成するまでに  

長い期間と相当の費用を必要とします。従って、道路整備を着実に進めていくためには、安定的な財源の確保は必要不可欠であり、そのためには、ガソリン税をはじめとする道路特定財源の暫定税率の延長をお願いしたいと考えています。
 今後も、国民の皆様方に対し、このような暫定税率を延長する趣旨や必要性について十分に説明を行い、御理解を得ていきたいと考えています。






 

Q2 ガソリン税の暫定税率が廃止された場合、

国民にはどのような影響があるのか。

1. 暫定税率を廃止すれば、国(1.7兆円)と地方(0.9兆)を合わせて、2.6兆円の税収減が生じることとなります。
 特に、地方では、地方道路整備臨時交付金(0.7兆円)も    廃止されるため、1.6兆円の大幅な減収となり、地方財政に  深刻な影響を与えることとなります。
 新しい道路の建設はもちろん、継続事業も大幅な遅れ、   中断が発生するとともに、福祉や教育などの住民サービスの見直しも余儀なくされます。

 

2. また、道路事業は、維持管理や除雪だけでも約4000億円  (事業費)を要するものであり、仮に、国の税収が1.6兆円に半減し、補助金(1.2兆円)を減らさないとすれば、維持    管理のみしか対応できず、新規事業の凍結はもちろん、継続事業も全てストップしてしまいます。

3. なお、直轄補助に関わらず、道路事業のうち、維持管理費や国債の償還費などの義務的な経費が約4割を占めるため、財源が半分(5割)になれば、残りの1割しか道路整備に    充てることが出来なくなります。

 

.   道路整備を取り巻く課題(ニーズ)としては、

  @ 都市部では、開かずの踏切2817億円)や環状道路の整備などの渋滞対策20895億円)

 A 地方では、救急病院への生活道路の整備1667億円)や、高速ネットワークの整備(21936億円)

 B 全国的には学童が通学する歩道の整備2926億円)

  など、都市・地方を問わず課題が残っています。

 

 5. これらの課題について、優先順位を明確にして対応していかなければならないと考えておりますが、暫定税率が廃止された場合には、これらの課題への対応を実施することが出来なくなります。



Q3 マスコミの対応は。                            

         2008.1.17付 読売新聞社説
『政権担当能力をどう示すのか』
 “ 民主党の活動方針は政策面で、参院選公約の「深化」を  

うたった。通常国会では、租税特別措置法の改正問題への取り組みが問われる。

     民主党は、揮発油税の暫定税率廃止を主張している。原油高騰の中、ガソリン価格の値下げが実現すれば、確かに国民に歓迎されるだろう。

     しかし、暫定税率廃止に伴う26000億円の歳入不足の財源をどうするのか。道路整備を減らすのか、それとも別の財源を工面するのか。納得できる財源を示さずに、「ガソリン解散だ」などと唱えるのは、きわめて無責任な対応だ。

     そもそも民主党の参院選公約は、農家への個別所得補償、子ども手当の新設などを掲げたが、総額153000億円とされる財源の裏付けは明確ではない。”

         2008.1.17付 産経新聞社説
『政局至上主義は信頼失う』
 “小沢民主党は、3月末に期限切れとなる揮発油(ガソリン) 

税の暫定税率の延長阻止を最優先することになる。

    こうした選挙目当ての「政局至上主義」で失われるのは、政権政党を目指そうという民主党への国民の信頼だ。きわめて残念である。

    民主党が阻止しようというガソリン税の暫定税率延長問題は、3月末までに歳入関連法案が成立しなければ、本則に戻り、ガソリン代は1g当たり25円下がる。すべての暫定税率が切れると約26000億円の税収減だ。

    与党はその後、暫定税率を復活させる。ガソリン代は乱高下する。減税から増税になることを批判材料に選挙戦を有利に戦おうという狙いなのだろうが、これでは「国民生活第一」を標榜する民主党の看板が泣くだろう。国民生活の混乱に拍車をかけていると受け取られかねないからだ。”

 

         2008.1.17付 東京新聞社説

『地に足はついているか』

 “道路特定財源の一般財源化や暫定税率廃止には選挙区の反発を不安視する質問が出た。ねじれ国会での民主の作戦が、変調する景気に及ぼす影響を与党に攻撃される懸念も出た。

  この国をどう変えるか、選挙公約を実現するための財源確保も内外に疑問が少なくないなかで、世間をなるほどと納得させる議論がないままでは、とても地に足をつけた戦い方は期待しにくいのではないか。”

 

         2008.1.18付 朝日新聞社説

『「ガソリン」だけじゃない』

 “とりわけ民主党は積極的な努力が必要だ。民主党が政権につけばこんな国にする、こんな予算を組むという考え方を具体的に示さねばならない。
 たとえばガソリンの暫定税率をやめるというなら、財源の穴をどう埋めるのか、歳出の見取り図を出すべきだ。それがないままでは、国民は民主党の主張の妥当性を判断しがたい。