「新聞の特殊指定見直し」について


読者の質問にお答えします/新聞の特殊指定見直し/党議員懇話会幹事長/漆原良夫
 『問い』
 最近、「新聞の特殊指定の見直し」が問題になっていると聞きますが、どういうことですか。公明党の考え方も教えてください。(埼玉県 Y・N)

 『宅配制度崩壊の危機に』
 『国民への情報提供に格差。活字文化振興の障害にも』
 『公明、制度堅持へ公取委に申し入れ』

 新聞の特殊指定とは、同一紙ならば、全国どこでも同じ価格で販売ができるよう、販売店の値引きを原則禁止した制度をいいます。
 不公正取引の防止をめざす独占禁止法に基づくもので、過疎地や都市部などの間で情報を得る条件に格差が生じてはならないとの観点から、1955年に公正取引委員会により定められました。
 今でも、新聞社が販売店による値引きを禁止することができる「再販制度」とともに、どの地域でも同じ条件で新聞が届けられる宅配制度を支えている重要な柱となっています。
 このような中、公取委は昨年11月、新聞の特殊指定を見直す方針を打ち出しました。最近の規制緩和の流れや、独禁法が自由で公正な競争を促している点を踏まえ、新聞販売に対する規制が時代や法の趣旨にそぐわないとの考え方によるものです。
 しかし、特殊指定が撤廃されれば、価格競争の激化から、山間部などでは配達コスト(費用)が上昇し、配達料金の値上げや配達の中止など、これまでの宅配制度が崩壊する危険性があります。
 同時に、資本力の強い企業による寡占化も進むことから、国民が等しく多様な情報を得ることが困難になり、国民の「知る権利」を侵害することにもつながります。
 さらに昨年7月に施行された「文字・活字文化振興法」では、活字の振興に向けた国と地方自治体の取り組みを義務化しており、公取委の方針は、この流れに逆行するものといえます。このような観点から、与野党からは見直しに反対する声が相次いでいます。
 公明党は4日、党新聞問題議員懇話会(会長=冬柴鉄三幹事長)のメンバーが公取委の竹島一彦委員長に対し、新聞の特殊指定の堅持を求める申し入れを行いました。
 この中で冬柴会長は、日本の宅配制度について、「日本の文化であり、壊してはならない」と強く訴えるとともに、公聴会を開くなど、国民の意見をしっかりと聞くよう求めています。
 今後も公明党は、的確な情報を誰でも同じ条件で提供していくことを、健全な民主主義の発展の基盤と位置付け、新聞の特殊指定の堅持に全力を挙げてまいります。
(平成18年4月25日付け公明新聞より転載)