「公益法人制度改革」について

読者の質問にお答えします/公益法人制度改革/主務官庁の設立許可制を廃止/民間の多様な公益活動を促進/党公益法人等改革委員長/漆原良夫衆院議員
 『問い』
 先の通常国会で実現した公益法人制度改革って何ですか?(東京都 D・M)』

 『第三者機関の判断で透明性確保』
 公益法人とは、国際交流や調査、研究、宣伝・啓発活動などのさまざまな公益事業を行う社団や財団のことです。行政や民間企業では満たすことのできない社会のニーズ(要望)に対応する多様なサービスを提供し、社会の中で大きな役割を果たしてきました。そのため、国は、公益法人の設立を許可し、税制優遇を行ってきました。
 しかし、これまで、設立は「主務官庁」と呼ばれる省庁や都道府県による許可制で、設立に手間が掛かる上、許可の判断が主務官庁の裁量に任され、「公益性」の認定基準が不明確なため、営利法人に類似する法人や共益法人が多数設立されたり、主務官庁との癒着、天下りなどが指摘されてきました。
 そこで、政府は、公益法人設立を容易にし、その活動を社会の中で積極的に位置付け、活動を促進させることをめざし、1896年(明治29年)の民法制定以来初となる抜本的改革に着手し、先の通常国会で、公益法人制度改革のための法律(公益法人制度改革3法)を成立させ、6月2日に公布しました。
 同法は、法人の設立に当たっての主務官庁の許可制を廃止し、一定の要件のもとに登録するだけで設立ができる制度とする一方、「公益性」の認定方法を、民間有識者からなる認定機関の意見に基づいて首相、都道府県知事が認定するというように改めました。設立された法人は「公益性」を認定されて初めて、公益法人として税制優遇などの措置を受けられるようになります。
 これにより、多様な公益法人の設立が促進される一方、主務官庁が主導で行ってきた「公益性」の判断を、第三者機関に委ねて透明性を高めることで、従来、指摘されてきた不明確な認定基準の問題などが解消されます。
 新制度は、2008年度中に施行されます。また、施行日から5年間は「移行期間」と決められており、現行の公益法人はこの期間中に必要な手続きを行い、移行することになります。
 公明党はこれまで、公益法人の透明度の確保などを主張し、公益法人制度の改革に取り組んできました。01年には党行政改革推進本部の下に、公益法人等改革委員会を設置し、与党内論議を主導。今回の公益法人制度改革3法の成立を推進してきました。
(平成18年6月30日付け公明新聞より転載)